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雑談スレ
385
:
無能大佐大総統 </b><font color=#FF0000>(SQQQQQQA)</font><b>
:2005/03/03(木) 23:00:05 ID:S03j7Oko
小説「鋼の錬金術(1) 砂礫の大地」 原作/荒川弘 著者/井上真
プロローグ
荒れ果てた黄土色の大地。
その一角に、女の子が伏せっていた。
年の頃は、七〜九歳くらいだろうか。ぱっちりとした瞳。桃色の唇。二つに結ばれた肩まで伸びたブラウンの髪。笑った顔はさぞかし可愛いだろうと思わせる。
だが今、彼女の頬は強張って震えていた。泣くまいと我慢はしているが、瞳は潤みきっている。
彼女の下半身には、鉄製の台車が覆い被さっていた。
「…う…」
地面には棒で描いた絵がいくつかあり、彼女がつい先ほどまでここで遊んでいたことが分かる。だが、いつものように彼女がトロッコに寄りかかった時、それは今日に限ってぐらりと倒れてきたのだった。
声を上げて泣きたいのを我慢しながら顔を上げる。這い出そうと試した結果できてしまった擦り傷を腕に見つけて、彼女はついにしゃくりを上げた。
動く上半身を必死に曲げて見つめる先には、土埃に霞む家々が見えた。
「…パパァ!」
懸命に叫ぶが、その声は届かない。
誰も気づいてくれなかったらどうしよう、そう思った途端、小さな胸を恐怖が満たした。
「うわ〜〜〜〜〜んっ」
堰を切ったように泣き出す彼女の頬に、涙がいく筋も流れる。零れた涙跡に土がこびりついた。
「パパ〜!」
その時、汚れた顔に影が落ちた。
「…大丈夫。すぐに助けてあげるから、泣くな」
突然の声に驚いて顔を上げた少女の瞳に、太陽を背にして立つ姿が映った。
逆光で風貌は見えないが、身体つきと声の感じで少年であることが分かる。
「ちょっと待ってな」
少年はそう言うと、下を覗き込んだ。
「痛くないか?」
トロッコを少しだけ押して少年は聞く。
「…うん」
「トロッコと地面の間に鉄骨がある。丁度その間に挟まってるだけだよ。大丈夫、足は怪我してないみたいだ」
鉄製のトロッコは、中になにもなくても充分に重い。大きな石を載せて走るものだ。頑丈に出来ている。そんなものが少女の下半身にまともに乗ったら大怪我しているところだ。彼女が助けを呼ぼうと上半身だけでも動かせたのは、トロッコを支える鉄骨が間に挟まっていたからである。
「今、どかしてやるから」
重いトロッコを前に、少年は事も無げにそう言った。トロッコを思い切り押すかなにかするのかと少女が見守る前で、少年は一歩下がった。
「じっとしてな」
少年の両手が、勢い良く合わさる。手と手を合わせる小気味よい音。続いて少年の手がトロッコの脇に突き出た鉄骨に触れた。
「……?」
なにをしてるのだろう、と思った途端、身体の上の圧迫感がふいに消えた。
自分の足を振り返った彼女の目の前で、トロッコが弾かれたように向こう側へ倒れていく。そして、足の横には見慣れない鉄の柱。それは、確かにトロッコの下に挟まっていたものなのに、今は空に向って飛び出したように立ち上がっている。
まるで、地面から飛び出した棒がトロッコを跳ね上げたように。
「…?」
なにが起きたのか分からないままの少女の足元に少年が膝をついた。
「…うん、擦り傷が少しあるだけだ。良かったね、大きな怪我がなくて」
笑った少年の顔が太陽に照らされた。その顔は少女の知る町の誰かではない。
「…お兄ちゃん、誰?」
少年は額にかかった金髪を払いのけながら、笑顔を見せると手を差し出した。
「エドワード・エルリック、だ。よろしく」
彼女に向けられた銀色の瞳が、太陽の光を受けて輝いていた。
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