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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

941鳥頭 ◆.4U5FmAuIw:2017/07/20(木) 20:55:03


※海砂利編の補完みたいな話を思いついたので投下してみる

※内容には関係ないけど別板での酉かぶりに動揺を隠せない


「黒ってそんなにしつこいんですか?」
「上田は石拾ってまだ3日やから知らんねん、西尾なんて黒の奴らに追っかけ回される
 ストレスで5キロも痩せてもたんやで!!」

嵯峨根さんは「かわいそうになあ」と相方の背中を叩く。

「えっ、見た目は全然変化ありませんけど」
「ほんまか?よかったあ〜!!」

大げさにホッとする西尾さん。普通は怒る所じゃねえのか?
しかし、痩せた西尾さんか。どんな感じやろか。あ、心の声に西尾さんが伝染った。

そんな事をボーッと考えているうちに、楽屋の前に到着。

「来たで、お前が唯一輝ける場所に!」
「……お前は言うたらあかんことを言うた」
「えっ」

冗談のつもりで見事に地雷を踏んだ西尾さんを、嵯峨根さんが睨みつける。
嵯峨根さんは楽屋だとめちゃくちゃ面白い。楽屋では。
(大事なことなので二回言いました)

「すまん!すまんかった!」
必死に謝る西尾さんに背を向けて、嵯峨根さんはドアノブをひねった。

「……ん?」

嵯峨根さんは首をひねって「あかんわ」と振り返る。

「どないした?」
「中でなんか引っかかっとるみたいやねん、手伝ってや」

西尾さんは「だらしないなお前」と文句を言いながらもドアノブに手をかける。
次の瞬間、西尾さんは「ひいっ!?」と腰を抜かした。
ドアを塞いでいたのは、人だった。それも、よく知っている。

「……はら、だ……さん?」

呆然と立ち尽くす俺の横で、我に返った嵯峨根さんが中へ入った。

中は酷いありさまだった。窓ガラスは割れてるし、カーテンも裂けている。
頭から血を流して倒れる原田さんと、壊れたテーブルの間に座りこんだ男。

「おい、松本!しっかりせえ!何があったんや!」

嵯峨根さんに揺さぶられて、松本がやっと目の焦点を合わせる。

「……あ、嵯峨根さん」

そこで初めて気がついた、というような口ぶりだった。

「あの、ちゃうんです。殺してやろうとか、あ、着がえまだやった。
 そんなの思てへんのに、ほんまに、俺はそんな、すいません」

いつも加賀谷の手綱を引いているこいつが、ここまで混乱しているのを見るのは初めてだった。
松本はあいまいな笑顔を浮かべて、支離滅裂な言葉を並べる。

「ちゃうんです、原田さんがいきなり、あ、黒に来いって、危ない思て、
 トイレ行きたい、あの、ワンちゃんがおらんから、手ぇ痛い、原田さん、
 角で頭打って、せやから、寒い、エアコン効きすぎや、あの」
「上田、ダーンス4に回復系が1人おったやろ。呼んでくるわ」

西尾さんはそう言って、楽屋を出る。あそこはたしか、リーダーの北条が能力使用の許可を出す決まりだった。

「俺はっ……とっさに、原田さんを蹴ってもたんです、でも、元はといえば、原田さんが」
「もう分かったから、落ち着けよ」
「原田さんが!!ここにさえ来んかったら!!」

大声に、嵯峨根さんが一瞬ひるんだ。

「お……お、れは……悪く、な……」

松本はボロボロと涙をこぼしながら、震える手で嵯峨根さんにしがみつく。

「お前は悪くねえ。……悪くねえよ」

その言葉は、血の匂いがまざる空気に空しく溶けた。


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