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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
926
:
鳥頭
◆.4U5FmAuIw
:2017/05/18(木) 21:53:46
その二日後。
大阪のとある楽屋で、黒から渡された資料を読む芸人が、二人。
「後藤秀樹。元シェイクダウン。能力のスペクトラムは不可視。座標は――」
「なんや、ただのお笑い芸人っちゅーことやないか。お偉いさんが出てくるほどの
話やないって。黒はなんでこの人が気になっとるんやろ」
読み上げる小堀の横で、修士は「それより聞いてくれや、俺の石の新たな活用法」と笑っている。
「どうせ下らん使い方やろ」
「いやいや、昨日家族で流しそうめんやってん。俺が逆流させたったら
子供ら大喜びや!お父さん超能力者ー!言うてなあ。
ほんで、嫁さんカミナリ……はあ……」
ずーん、と落ちこんだ修士に、小堀は「アホか」とあきれている。
「ま、わざわざ指示が来たんや。軽く探ってみんとな」
「ほんなら、さっそく後藤さんとこ行ってみるか。そうめんはやっぱり逆流のしがいがないわ」
立ち上がった二人は、後藤のいる劇場を目指して歩き出した。
◆◆◆◆◆
――俺は絶対に、お前を疑ったりせえへん。
楽屋の照明を落として、後藤は静かに考えていた。
あれから何日か経ったが、幸いにしてまだクビにはなっていない。
時々記憶がなくなることはあったが、持っていた台本が黒焦げになっていたり、テーブルが半壊しているくらいで、
マネージャーがこっそり処理してくれていた。
(……あれは、ほんまに俺がやっとるんか?)
こめかみをおさえて考える。
アホキャラで通っている後藤でも、常識は一応持っていると自負している。
(俺の中に、俺が知らん俺がおって……そいつが、やっとるんかな。
それとも覚えてへんだけで、俺はほんまに)
「後藤さん」
気がつくと、宇治原の顔が目の前にあった。
いつの間に入ってきたのか、「平気ですか?」と目を合わせている。
「へ、平気や……ちょっと熱あっけど」
「後藤さん弱いんですから、ちょっと休んでた方がええんやないですか?」
「平気や言うとるやろ!」
宇治原は一瞬だけ、あっけにとられたような顔になった。
あせりも手伝ってつい怒鳴ってしまった。宇治原は何も悪くないのに。
それは久馬に対する焦りか、それとも自分自身に対する嫌悪感か、後藤にもわからない。
「あ……すまん」
目を伏せた後藤の顔を覗きこんだ宇治原は、「あの」とまた遠慮がちな声で聞いてくる。
「後藤さんって、右と左で目の色違いません?」
「なんや、いきなり」
「ずっと思ってたんです。後藤さん、右の瞳は黒いけど、左の方は茶色いやないですか。
よーく近づいて、目ェこらしてみんと分からんくらいの違いですけど」
自分の落ちくぼんだ目を指さして言う宇治原。
「シェイクダウンのころも見とったけど、あん時は両方とも茶色かった気がするんですわ」
「……」
「あ、すいません。変なこと聞いてもうて。ずっと気になってて、菅が」
付け加えられた名前。おそらく気になっていたのは宇治原もだろうが。
「……この目な、朝起きたらいきなりこうなったんや」
「生まれつきやないんですか」
「シェイクダウン結成して、2、3年くらいやったかな。久馬に見せたら、"それは後藤の中の
悪いもんを閉じこめてくれとるんや"って、変なこと言うとった」
「……」
「でもな。これ、ほんまにそうかもしれんかったって思うんや。昔は、太陽が当たるとちょっと
光ったりしとったんやけどな、この右目」
「最近は、全然光ったりせえへんのや」
それを聞いた瞬間、宇治原の目がわずかに開かれる。
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