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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

911鳥頭 ◆9fw1ZntG8Y:2016/06/17(金) 13:11:32
「分かりました、今は一旦引きましょう」
吉田が頷くと、大上はどないする?と隣の松口に判断をあおぐ。松口は「離したりや」と顔をしかめた。
「お前の能力、意外と凶悪やもん。お前は浪費家やから、絶対運勢関連の能力やと思うてたのに、
 何でそんなエグい能力授かったんや、前世でなんかバチ当たることしたんか」
「そ、そないに言うことないやろ!?俺かて、この能力使うたびに心がこう、チクチクと」
「あの……」
そのまま行けばケンカに発展しそうな勢いだった二人に、吉田がまた弱々しい声で呼びかける。
大上はそこでハッと気づいて、「すまん、今解除したるわ」と輪のはまった手首を持ち上げた。

――パチンッ。

大上が指を鳴らすと、吉田の首にはまった赤い輪と、手首の輪を繋ぐ鎖が、一瞬にして消え去る。
軽くなった首をおさえて、吉田はゴホゴホと咳きこんだ。大上は空にかざしていた手を下ろして、「なあ」と聞く。

「俺らの方にも、ちょっかいは出さんといて欲しいねんけど」
「……それは無理です」
「松口を傷つけたないねん。こいつはリスクが高い割に下位互換みたいな能力や。
 ……いくら治せたって、痛みの記憶は消えへん」
その言葉に、松口は驚いたように「大上」と名前を呼ぶ。
「俺はな、松口を傷つける奴には容赦せんで。それを回避するためやったら、例えこの体が崩壊してでも、
 お前ら全員囮にして――ぶっ潰す」

最後の言葉は、普段の彼からは出てこない、冷たい響きを持っていた。
本気で退けようとしていると分かって、敵二人は思わず後ずさる。
(……これも、同じだってのか?)
後ろで見ていた井戸田は、そんな彼らをよそに自分の先輩を思い出した。

――そうだよ、俺は石井さんが一番大事だ。自分のエゴに『みんなのため』って
  言い訳をくっつけてるだけ、分かってるよそんなの。

――それの何が悪いの?結果的にいい方向に進めば、皆手のひら返すに決まってるよ。
  お前らの理想だって俺とおんなじ、綺麗事じゃん。式が違ったって回答が同じなら
  正解になんだろ?俺のやり方が気に食わないってんなら、その綺麗事で勝ってみせろよ。

「くそっ」
何かがずれた言葉を思い出して、井戸田は不快感を払うように、頭をブンブンと横に振る。
「は、はは……なんだ、誰だって似たような人を、相方に選ぶもんなんですね」
はなわはベースの弦から指を離して、吉田に「行こうか」とうながす。
「では、また」
吉田はくるりときびすを返した。
「……せいぜい、頑張ってくださいね」
顔だけ振り返って、一瞬増田と目を合わせる。しかし、それ以上何を言うでもなく、
彼らはそのまま立ち去った。


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