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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
907
:
名無しさん
:2016/06/03(金) 16:16:47
「うう……」
どれくらい気絶していたのか。修士は、温かい感触に目を開ける。
パチパチと瞬きしてあたりの様子を観察すると、病院ではないようだ。黒が持つ基地のひとつか――?
「ッ、修士さん!」
椅子に座っていた小林が、立ち上がって駆け寄ってくる。
「ここ、は……」
「自分の名前は分かりますか?コンビ名は?…この指、何本に見えます?俺は誰ですか?」
いっぺんにまくしたてた小林に、起き上がった修士は「川谷修士、2丁拳銃。3本。お前は小林」
一つずつ答えると、彼はホッとしたように胸を撫で下ろす。そこで、先に目覚めていた小堀が
トイレから出てきた。修士に気づくと、「おう」と手を挙げる。
修士は申し訳なさそうに頬をかいて、「…すまん、大失敗や。火消し大変やったろ」
小林は答えない。浄水器から二人分の水を汲んで、何かの錠剤と黒の欠片を渡す。
2丁拳銃の二人は、迷わず錠剤の方を選んで飲み干した。
「無理はしないで下さいって、言いましたよね?」
怒気のこもった声に、二人はおそるおそる顔色を伺う。小林は何かをこらえるような表情で、
じっと二人を睨みつけていた。小堀が「すまん」と頭を下げると、渋々表情をゆるめる。
「増田のやつ、神様にでもなるつもりなんか」
小堀はコップの中で波打つ水を眺めて、ぽつりと言った。
「せやけど所詮人間やから、俺らの願いは叶えてくれへんのかな」
□ □ □ □ □ □
「……分かった」
増田がそう云うと、井戸田は「じゃあ」と期待のこもった目になった。
「ただ、今のうちに言うておく。俺の能力は"ハイリスク.ハイリターン"や。あちこち引っぱりだすのは
かまへんけど、対価の支払いには協力してもらうで」
「はい。それはもちろん全面的に」
平井のポケットから発せられていた、ぼんやりした光が消えた。増田を拘束していたツル草が
パラッと解けて、地面に落ちる。増田は手首のブレスレットを右から左へ付け替えて、堂土の隣に並んだ。
「今までありがとな、堂土くん」
「……守るのは当たり前や、コンビやからな」
堂土は少し照れて、頬をかいた。
帰ろうとする二人に、「タクシー呼びますか?」と井戸田が声をかける。
――その時、人工的な重低音が響いた。
同時に、ルートの二人の両脇を、何か熱いものがちりっとかすめる。
まっすぐに井戸田を狙ったそれに、前へ出た平井がパンッと両手を打ち合わせた。まだ壊れたまま、
ごぼごぼと溢れ出ている水が、ふわっと空中に浮かび上がった。
「こいつの湿度をッ、再利用…やっ!」
放たれた衝撃波は、堅牢な樹木の壁に阻まれて霧散した。
ギュイイーー…ンと長く尾を引いた音。道路に立つベーシストは、その結果に「あーあ」と笑顔のまま残念がる。
「どうする、あっちは俺が担当かな?」
ベーシスト――はなわが聞くと、隣で包帯を解く吉田は「できれば」と頷く。
「俺は便利に酷使されてるんで。たまには甘えてもいいですかね」
「オッケイ。じゃ、俺はなんとかあの壁を突き崩すから」
はなわは肩のベルトの位置を直すと、抜けかかっていた人差し指のリングをギュッと押しこむ。
「ハーッ、ハアッ…ハアッ」
が、頼みの綱の平井は肩で息をしている。万事休すか、と目をつぶった柳原の耳元で、声がした。
「親切な魔法使いが、来たったで」
目を開くと同時に、柳原の視界がパアッと輝く。まばゆいばかりの光が止むと、
体の内側から胎動する不思議な違和感に、柳原は目を瞬かせた。
「よそ見してる余裕なんて、あんのかなッ!」
はなわは再び、指先で弦をピンッと弾く。稲妻のように空間を走り抜け、遅い来る音の波動。
柳原はとっさに両手を広げて、「やめろーっっ!!」と限界声域の叫びを上げた。
――守らな、あかん。カンタに、人にばっか闘わせて、自分は後ろなんて、そんなん、あかん。
柳原は唇を噛み締めて、はなわを睨みつける。
――俺はっ…皆を、守りたい!!
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