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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
906
:
名無しさん
:2016/06/03(金) 16:15:58
なぜ、ルート33を幹部たちは放っておくのか。メンバーの大半が抱く疑問だ。
ひとえに増田の能力を恐れての事だろうと、堂土は思っている。大阪にいた頃から繰り返していた
妨害行為に、作戦塔の小林は最初のうちこそ警戒していたが、やがて監視をつけて飼い殺しにする事にした。
『監視者』はルートのそばにいる全ての黒メンバー。
時々、黒幹部の気まぐれで外れることもあるが、基本的にはつかず離れず。
「今回はお前らなんか?毎度毎度、ご苦労やなあ」
渋谷近くの高速道路を走る車の中、後部座席に座らされた二人に、運転手の修士は「はいな」とだけ答える。
送ったりますわ、という誘いに、怪しいものを感じなかったわけではない。ただ、信頼が勝っただけだ。
「どないしたん、増田」
「さっきから静かやねえ、増田」
「腹痛か?」
「ハライタか?」
上から修士、小堀の順番で交互に放たれる同義語の応酬。だがミラーに映る修士の目は笑ってない。
修士は声だけで笑いながら、器用にハンドルをさばいて続ける。
「せやけど、あんた方が悪いんでっせ。小林君はああ見えてゲロ甘やからな」
「うん、ラーメンズ白砂糖大盛りや。幹部があんなんでええんかなあ」
「はよ始末したってもええのにな、小堀さん」
「裏切り者を守ったってしゃあないのにな、修士さん」
そこで、二人はしばらく言葉を切る。車内に、ゴォ…という音だけが響いた。
「あんたらは痛い目見いひんと分からんみたいやから、今のうちに教えたりますわ。
……俺らがな!」
修士はハンドルからそっと手を離し、体を反転させた。そのまま後部座席の堂土に跳びかかって、喉を掴む。
どくんっ、と修士の手の下が脈打った。
「ぐッ……う、ご、お゛っ…!」
「堂土くん!?」
「おっ…と、手ェ出すな。お前の方は、せやな…髄液反転さすで」
聞きなれないが、確実に大事な部位を表す単語に、増田はう、と黙った。
「お゛!ぼッ…ごぉっ、ぐ…」
血液の逆流する感覚に、堂土は腕に指をかけて抵抗する。
意識がすうっと遠ざかりかけた堂土の耳に、増田の声が届いた。
「俺、対価なんか怖ないで」
瞬間、エンジンが火を吹いた。
「ッ、何や!?」
小堀は慌ててハンドルを回転させると、対向車に衝突しないよう、ジグザグになって走る。
増田の前に表示されたステータス画面が、暗い車内でぼんやりと光った。
「どんな対価がきよっても、絶対に堂土くんが、守ってくれるって…信じとるから!」
人工的に作り出されたエンジントラブルは、深夜だが車通りの多い高速道路を、爆走させた。
修士は慌てて手を離し、堂土を退けてシートベルトを装着する。
「小堀!パーキングエリアに入るんや!」
「あかん、ブレーキきかへん!!」
「なんやと!?」
車は法定速度ギリギリで走行し、ついには料金所の前で裏返った。
「うっ!」
小堀はハンドルにしたたか頭を打ちつけて、パーンとけたたましいクラクションを鳴らす。
車はガンッ、ガツンッと回転しながら料金所のバーを軽々と飛び越え、ついにはスリップした。
ギュルギュルと激しくドリフトしながら、高速を進んでいく。
「くそっ、ここまで追いつめて逃がせるか!」
割れた窓枠に足をかけて、一旦脱出しようとした堂土に、小堀が視線を向ける。
「ええコンビネーションや!せやけどッ…遅いで!」
堂土は背後に来たトラックを確認すると、全身の力を込めて窓枠を蹴り飛ばした。
ネクタイを射出して、トラックのサイドミラーに引っ掛けると、
コンテナの側面を足場にして、車を飛び越える。
並行して走っていた無人の回送バスに、ガンッと飛び乗った。
「な、なんだ!?なんなんだ!?」
バスの運転手がパニックに陥っている間にネクタイを伸ばし、再び跳ぶ。
「増田!つかまれ!」
破片を回避するために座席の下にもぐっていた増田は、笑いながらその手を掴んだ。
ぐいっとその体が車外に引っぱられると同時に、車はとうとう壁に激突して動きを止めた。
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