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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

894名無しさん:2016/05/10(火) 19:33:47
「お前らの相手は俺やーーっっ!!」
ネタ中の「言いたいねー!!」と同じ声量で、後ろの堂土が叫ぶ。
空気をビリビリと震わせるほどの大声に、おぎやはぎの二人は反射的に耳を塞いだ。

「……堂土くん、ネクタイ短すぎるでしょ」
増田は振り返らずに呟いた。
「ねえ、巻く時分かるやろ言う話ですけども。……ほんで、何でそんな短いんですか?」
堂土は一歩踏みこんで、ズボンの中に入れていたシャツを引っぱり出して下のTシャツを見せる。
丸く膨らんだ腹には大きく『黒』の文字。瞬間、堂土の巻いたネクタイがまるで生き物のように動いた。

増田が右に傾いて避ける。同時に堂土のネクタイがその耳をかすって、矢作の胴体にギチッと巻きつく。

「!」

驚く間もなく、矢作の視界がぐりんっと回転した。
持ち上げられた体が勢いよく壁に叩きつけられて、肋骨の隙間から「かはっ…!」と空気が漏れる。
「矢作!」
叫んだ小木の懐に、増田が回りこむ。インストールした職業は、なるべく暴力沙汰を避けたいという理由から、『交渉人』。
まずは相手が話を聞ける状態まで持って行くのが基本。小木は眼鏡を狙う増田の腕に自分の腕をからめて、膝でぐ、とその腹を押す。
「ぐ、!うっ……」
受身を取る間もなく、増田の背中は床に落ちた。矢作を拘束していた堂土はそれを見て、鼻頭を指の関節でこする。
ぱっ、と唐突に。矢作の体が解放されて、ドサッと尻餅をつく。それに小木がほっとしたのもつかの間。
矢作から離れたネクタイは、まっすぐに小木の方へ向かった。

「……ふっ」

短く息を吐いて、向かってくるネクタイを指先で一直線に叩く。
ずらされた軌道は、小木の背後にあるエレベーターの扉に突き刺さった。亀裂が走った扉から、パラ…と欠片が落ちる。
堂土はちら、と相方に視線を向けて、「せやから、あかん言うたのに」と呟いた。
再びネクタイが引き抜かれ、小木に狙いを定める。ファイティングポーズを取っていた小木は、
「一本なら、行ける!」と前へ飛び出した。


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