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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
879
:
Evie
◆XksB4AwhxU
:2016/01/29(金) 22:58:20
「僕は、君と闘いたくない」
シンプルな表現だったが、石井の心情を表すには十分だった。
弾かれたように顔を上げた相方の手を握って続ける。
「正直に言うと、君には白にいて欲しい。いっそのこと再洗脳してしまいたいぐらいだ。
でも、君が白は嫌だというなら僕もついて行きたい。コンビで敵味方に分かれて
いがみ合うのはもうごめんだ。だけど、これ以上
君が黒として誰かを傷つけるのは見たくないし、もしそんなことになったら、
僕は命がけで君を止めるだろう。
……長くなったけど、これが僕の率直な気持ちだ」
石塚はじっと思考の読めない目で、石井の目を見つめた。
「……最初は」
しばしの沈黙の後、慎重に言葉を選びながら返事を紡ぐ。
「最初は、脅されて……仕方なく、黒に入った」
遅効性の毒薬か、麻薬のように、黒の欠片を餌に服従させられた。
「段々、楽しくなった。気にいらない奴は踏み潰して、敵は叩きのめして。
でも、負けて地面に転がった奴らを見るたびに、そいつらが俺自身に見えてきた。
……キャブラー大戦の時から、そうだった」
「石塚くん」
「弱くて、守られてばっかで、役立たずで……いつも、傷つくのは石井さんばっかりで……
どうして、俺の石はこんなに、弱いのかって……ずっと、そう思ってた。
それが、俺の弱みで……そこを、黒につけこまれたんだ」
ぽつり、ぽつりと発せられる言葉に、石井はどう返事をすればいいのか分からず、
ただ黙って聞くしかないと思った。
「バカだよな、俺って。自分のことだけで一杯一杯のくせにさ。
設楽だけじゃねえよ、タカトシだって……命令されたわけでもないのに、助けてた。
ポイズンだって、助けられる距離の時は……手を貸してた。お互い様ってわけじゃない。
阿部がちょくちょく本音を言うから、それを聞いたら……もう無視できなくなった。
俺はもう、石井さんと黒ユニットの仲間を天秤にかけられねえんだよ」
「なら、黒に……戻るっていうのか」
膝の上に置いた、石井の拳が小刻みに震えだした。
「ん、そんな単純な話じゃないんだけどな」
石塚ははっきりと否定する。
「設楽は、ラスボスじゃない。それに俺はもう決めたんだ」
石塚は布団から這い出て、2日間眠っていたせいで固まった首をコキッと鳴らした。
動きを止めようと、行く手に立ち塞がったスピワの二人に、「忘れてんだろ、お前ら」と笑う。
「俺の石の、元々の能力」
小沢が言霊を発するより早く、ポケットから手を『サッ』と出す。
2本の指に挟まれていたのは、青い光をまとった小さな名刺。
石塚からプラチナクォーツを取り上げなかったことが、二人の最大の誤算だった。
光の軌跡を描いて、名刺はスピワの二人の前に差し出される。
吸いよせられるように、二人の手が名刺に伸びて、
行く手を塞いでいた二人の体のすきまに、ほんのわずか、通れるほどの空間が生まれた。
石塚は滑りこむようにその合間をすり抜けて、名刺からぱっと手を離す。
スピワの二人が名刺を受け取った瞬間、石塚は足元のゴミ箱を蹴り飛ばした。
「__あ!」
小沢は追いかけようとして、足元のゴミに蹴つまずく。あわてて体勢を立て直した時には、
もう石塚は出て行った後だった。しかし、走りだそうとするスピワを、後ろにいた石井が止める。
「……せめて、僕には思惑を教えてほしかったな」
石井は冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを取り出すと、「これ、借りてもいいかな?」と聞いた。
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