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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

872Evie ◆XksB4AwhxU:2015/12/25(金) 19:13:39
流血注意。
そして、石井さんがトリップしています。少し無茶な展開が苦手な方もご注意ください。

『Irony of the fate-3-』

まるで陽だまりのようだ、と石井は思った。あたたかく、どこか神々しい光。
『正』の石だけが持つ清らかさは、黒の欠片に汚染されていない石井すら惹きつける。
島田がそっと手を引っこめると、光は徐々に弱まって消えた。浄化を終えて行こうとした島田は、ふいによろけて膝をつく。
助け起こそうとすると「大丈夫です、ただの代償ですから」と首を振って、壁に手をついて立ち上がる。
「俺達は、先に行きましょう」
「……あいつらだけにして、大丈夫なんか?」
吉田は懸念を示したが、若い土谷は他に能力者の気配が感じられないためか、楽観的な判断を下した。
「俺達がいても圧迫感あるだろうし、ここは相方に任せるのが一番だろ。……ほら、行くぞ」
「う、うん……でも大丈夫かなほんとに」
岡安は何度も振り返りながら、階段を上って行く。6人の気配が完全に消えると、石井はハッと気づいたように視線を落とした。
「おい」
浄化は終わったが、石塚は目を閉じたままぐったりしている。頬を叩いて呼びかけると、やがてうっすらと目が開いた。
「おい、しっかりしろ。聞こえてるか?」
石塚はぼんやりと視線を彷徨わせて、隣に座りこんだ石井を視界に映す。ぱちぱちと瞬きして、体を起こした。
「……石井、さん?」
いつもの呼び方に、ひどくほっとする。緊張の解けた石井の体から力が抜けて、自然と笑顔になった。
「よかった……帰ってきてくれたんだな」
伸ばした手に、パンッと衝撃が走る。叩かれた、と気づくのに石井はしばらくかかった。
「……え?」
弾かれた手が赤くなって、痺れるような痛みが広がる。
石塚はひどく張りつめた表情で、まるで何か恐ろしいものを見るような目でこちらを見ていた。
「なんで……なんで、そんな優しくすんだよ。俺、沢山ひどい事言っただろ?それに……それにっ……」
いたたまれなくなったのか、石井をどんっと突き飛ばして階段を駆け上っていく。
「待て!」
追いかけようと階段に足をかけたところで、撃たれた肩が灼けるように痛みだした。
「__っ、う……」
傷口をおさえて低く呻くと、忘れていた痛みがじわじわと弱まってきた。予想より出血が多かったらしく、
体からすうっと力が抜けて、気を抜くと倒れそうだ。回復系の能力者を呼ばなければと思いながら、
一段ずつ不安定な足どりで上がっていく。地上に出てあたりを見回すが、石塚はもう人ごみにまぎれてしまったらしかった。
「……本当に、僕は……肝心なところで言葉が足りないんだな……」
石井は壁に背中をついて体を支えると、ケータイを開いて耳に当てた。


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