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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
868
:
Evie
◆XksB4AwhxU
:2015/12/16(水) 15:58:07
渋谷の歓楽街にほど近い、廃棄されたビルの地下室。元はキャバレーだったらしく、毒々しいピンク色のステージやバーカウンターには、
空になった酒瓶や引き裂かれたドレスが捨てられている。そして、彼らをここへ閉じこめた犯人にとっては非常に好都合なことに……
天井に、どう考えてもいかがわしい用途しか思いつかないフックが取りつけられていた。
二人の手首は、銀色に光る手錠(もちろん玩具だろうが)と天井のフックから伸びるチェーンで繋がれている。
そして二人は、この状態で一夜を明かしていた。が、なぜか小杉は不敵な笑みを浮かべて、隣でげんなりしている岡安に話しかけてくる。
「なあ岡田、これはチャンスやで」
「岡安です。この状況でよくそんな前向きな事言えますね」
「よう考えてみい。一見すると俺らのほうが捕まっとるように見えるけどな、逆に考えれば俺らが石塚を捕まえとんねん」
岡安は一瞬「ああ……」と納得したように頷いたが、すぐに「いやいや、逆に考える必要ないでしょ」と言い返した。
「ていうか言っときますけど、小杉さんがあそこで大声出さなきゃ
俺らこんなことになってないんですからね?」
「それは……ホンマ、すまんかった。せやけど、なんでちょうどええタイミングであんなとこおってん、岡本」
「岡安です。嫌な偶然ですけど、あそこは俺の帰宅ルートなんですよ。
でも、石塚さん一人で俺らを運べるわけないですよね。またポイズンの二人が一緒だったのかな……
あの人、単独犯装って仲間を待機させてるからやりづらいんですよ」
「まあ、石塚に俺らをどうこうする気はないらしいってのがせめてもの救いやな。トイレ行けへんのは辛いけど。なあ、岡村」
「岡安です。……さっきから、絶対わざとですよね!」
場の空気を和ませよう思て、とブツブツ愚痴る小杉の耳に、『コッ』とかすかな音が届いた。足音は階段を下りて、
二人が閉じこめられている地下室の扉の前で止まる。鍵が差し込まれ開かれたドアの向こうには、予想通りの男が立っていた。
「おはよ。ごめんな?遅くなって」
石塚は床に散乱した酒瓶や椅子の残骸を器用に避けながら歩き、二人の前にしゃがんでコンビニの袋をがさがさと漁る。
中からおにぎりとミネラルウォーターを取り出して並べると、「食えよ」とすすめた。
「……おかげさまで、よう寝れたわ」
小杉が嫌味を言っても「へえ」と意に介さない。
「俺さあ、黒に入って初めて設楽に褒められちった。“自発行動ができるようになったのは、いい進歩だ”って」
言いながら、おにぎりを口にくわえて中のエビを噛みちぎる。
「目的は何ですか?」
「この前俺をハメてくれたお仕置きだよ。お前ら二人はあいつらをおびき出すエサだ」
岡安が手錠のはまった腕を持ち上げると、首を横に振って「ダメ」と答える。
「俺の石、どこやった?」
小杉は拘束された腕をぐっと伸ばして、おにぎりをもぐもぐ咀嚼する石塚に近づいた。
その前にしゃがみこんで目線を合わせて「なあ」と問いかける。石塚はしばらく黙っていたが、やがて最後の一口を水で流しこんだ。
「……懲りねえデブだな」
石塚は低い声で呟いたかと思うと、わずかに腰を浮かせる。瞬間、小杉の薄く開いた口は冷たい金属にこじ開けられた。
「ぐ、もがッ……!」
石塚は喉奥まで突き入れたモデルガンを、ぐりっと回した。カプセルに包まれた黒の欠片を口に入れられたような不快な味が、
小杉の口中に広がる。それが熔錬水晶の仕業だと気づいた時、安全装置が外された。驚きに目を見開いた小杉を、実に面白そうな顔で見上げてくる。
「なあ、しばらく飯食えねえようにしてやろうか?」
ゆっくりと、石塚の指が引き金にかかった。隣の岡安が「やめてください!」と叫ぶ。
パンッ、と乾いた破裂音が響いた。天井に空いた小さな穴から、パラパラと建材の欠片が落ちてくる。
「……ぷっ、アハハハッ!」
石塚が腹を抱えて笑い出す。それを合図にしたように、小杉はその場にへなっと座りこんだ。
引き金を手前に引くのとほぼ同時に、石塚は小杉の口からモデルガンを引き抜いて天井へ向けていた。
岡安は手を伸ばした体勢のまま、固まっている。その光景が面白いのか、石塚はまた腹を抱えて笑い出した。
「ハハハッ、やばい、すげえ面白い……ぐっ!」
小杉は自由になる方の手を伸ばして、石塚の胸ぐらを掴んだ。そのままぐいっと引きよせる。石塚は息苦しさに一瞬だけ顔を歪めたが、
すぐに嘲るような冷たい笑みを貼りつけて、小杉を見つめ返した。
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