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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
856
:
Evie
◆XksB4AwhxU
:2015/12/02(水) 16:27:16
ポイズンも芸歴が微妙なので難しい。そしてやや下ネタ的表現ありますので、ご注意ください。
下池さんの能力は「性質と中身を異性にする」ようですが、「性転換」ではないんだろうなと思っています。
【Deep down inside of me-5-】
自宅まで送るというマネージャーの車を断って、石井は一人で夜道を歩いていた。危ないからタクシーを使えとマネージャーは言ったが、
頭の中をとりとめのない思考が錯綜して止まらない。涼しい風を浴びて考えをまとめたかった。
見慣れた住宅街も、夜の22時を過ぎると不気味さをはらんだ静寂が降りる。石井は自然、速足になって家路を急いだ。
「石井さん?」
背後から聞こえた声に、ぴた、と足が止まる。
「石井正則さん、ですよね」
振り返ると、見覚えのない男が立っていた。記憶を辿るが、思い出せない。どうも初対面らしい。ここ一ヶ月ほど、
こうして黒の芸人に襲撃されることが増えた。しかし、たいていはこちらが名も知らない若手であり、なんとか撃退してきた。
それでも回数が増えればいらだちもするし、疲労もたまる。スピワの二人はなんとなく感づいているようだが、ただでさえ白ユニットを
まとめるのに忙しい二人に、これ以上負担をかけたくなかった。
「何か?」
平静を装って返すと、男はヒューッと囃し立てるように口笛を吹いた。何が面白いのかにやにや笑いながら、背中に回していた手を前に出す。
左手に握られていたのは、アーチェリーのような大きな弓。右手に光の球が集まり、一つの大きな光になる。それは形を変えて、細い矢となった。
「恨むんなら、あんたのお友達を恨んでくださいね」
男は矢をつがえて、グリップをしっかりと親指で抑えた。
「待て、どういう意味だ!」
きりり、と糸が張られ、石井に狙いが定まる。石井が横に飛び退くと同時に、矢は風のような音をたてて放たれた。
石井の頬をちりっ、と熱がかすめる。指先でなぞると、浅く切れた頬から血が垂れていた。
「……仕方ないか」
覚悟を決めると、ポケットのルチルクォーツがそれに呼応するようにやわらかい光を放つ。石井はふうっと息を吐く。体をかがめて拳を握りしめた。
頭の中で鳴り響くのはロッキーのテーマ。男は作り笑いを引っこめて、じり……と後ろに下がる。
「__ふっ、」
短く息を吐いて腹筋を締めると、低い体勢から一気に飛びかかる。
「なっ……はや、」
男は予想以上のスピードについて行けず、あわてて二本目の矢を放つ。が、至近距離からの威力も半減した一撃は、
石井が体を半回転させるだけであっさりと後ろのアスファルトに突き刺さった。男は狙撃は諦めたのか、弓を捨てる。
両手に矢を握り、突撃する石井を迎え撃つ。
「ここ、だッ!」
三日月型の弧を描いた矢尻。その刃は、石井の肩の皮膚をほんの1cmにも満たない深さ、切り裂いた。
男は強かった。たった一つ計算間違いがあったとすればそれは、石井が平均的な日本人男性より小柄であったこと__。
「……、かッ、!……」
男の腹に、石井の拳が深々とめりこんだ。もちろんかなり手加減はしてあるが、それでも体重を込めたジャブは重い。
体をくの字に折った男の口から、酸の混じった唾液が吐き出される。石井は荒い息をついて、男がうつ伏せに倒れるのを見届けた。
「……可哀想な、人だ……」
立ち去ろうとした石井の足を、男の声が引き止める。この先を聞いてはならない、という予感がした。なのに、足は縫いつけられたように動かない。
「あなたは、何もかも……知ってる。だけ、ど……あなた、は……何も、分かっちゃいない」
それきり、男はがっくりと頭を落とした。石井は気を失った男を放って歩き出す。その間も、さっきの言葉が頭の奥でリフレインした。
「……僕が、分かってないこと……」
主語を自分に変えて呟いてみたが、答えがはっきりとした形を持つことはなかった。
再び歩き出した石井の耳に、ピリリリ、と着信音が届く。自分のケータイのものではない。振り返ると、気絶したままの男の
ポケットから聞こえているようだった。音はすぐに消えたが、石井はしゃがみこんで、男のポケットを探る。
「最新型か」
赤い折りたたみケータイを開いてみる。何かヒントが残っているかもしれないとメールや通話履歴を確認するが、特に怪しいものはなかった。
「ん?」
保存BOXBOXに、一つだけ動画が入っている。2分ほどの短い動画だが、『証拠』というタイトルに胸騒ぎがする。
『恨むんなら、あんたのお友達を恨んでくださいね』
石井は迷った末に、再生ボタンを押した。
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