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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

853Evie ◆XksB4AwhxU:2015/11/27(金) 19:06:20
磁石、となっているところは、本当はこの二人のはずでした。ななめ45°のターン。

『Deep down inside of me-4-』

うやむやにせず、きちんと確かめよう。
石井がその決意を固めたのは、ブラマヨがわざわざ訪ねてきて爆弾を落としていってから、二週間も経ってからだった。
以前は何気なく交わしていた軽口も、今はぎくしゃくした、明らかに無理をしたリズムで交わされる。
なにより、石塚の態度がそんな温かい雰囲気を拒んでいた。石井の方も、気がつくと必要以上に気を遣って、まるで小さな子供を
なだめるような接し方をしてしまう。石塚はそれを敏感に感じとり、なるべくいつも通りにしようとまた空元気を出すのだった。
「なあ、あれなんやねん。あいつらいつから冷戦しとんの?」
「俺ら知らんから教えろやー、はよ教えんと嵯峨根の給料30%オフやでー」
「なんでお前が俺の給料握っとんのや!……俺らあん時稽古場におらんかったから仲間ハズレやねん、教えてや」
X-GUNの二人が、左右から土谷の服を引っぱる。土谷は面倒くさそうに顔をしかめてその手を振り払った。
「そんなに気になるなら、石井さんに直接聞けばいいじゃないですか」
「せやかて……なあ?」
西尾はちらっと、遠くで休憩している石井を横目で見た。机に肘をついて指を組み、つま先でとんとんと地面をタップする石井からは、
近づくなという無言のオーラが漂っている。石塚は相方に背中を向けてケータイでメールを打っているが、やはり話しかけづらい雰囲気だ。
ごほん、と咳払いすると、西尾はなるべく自然な笑みを作った。
「あー、あいつらのせいで空気悪いわー。さっさと仲直りせえやほんまに。どうせあれやろ、石塚がなんか我侭言うて
 石井のこと困らせとんのやろ。あかんでえ、そういうの。お前年下やねんからな、ちゃんと言うこと聞きいや」
石を持たない芸人たちから見ればただのコンビ内喧嘩にしか見えないように言い繕いながら、西尾はさり気なく石塚の方へ近づき、
ぐしゃぐしゃと髪の毛をかき混ぜ、励ますふりをして後ろからケータイを覗きこんだ。一瞬で文面を読んだ後、自然な歩幅で帰ってくる。
「……ちょっと、こっち来い」
耳元で囁くと、土谷をそっと稽古場の外へ連れ出す。
ぱたん、とドアが閉まったところで、西尾は作り笑いを消して、真剣な顔で切り出した。

「“約束、覚えてるか?”……すまん、これしか読めんかった」
嵯峨根はそれで大体分かったのか、顎に指をかけて思案する。
「一旦話まとめようや。あいつらキャブラー大戦の時はどやった?」
西尾はそこで、嵯峨根の方が細かいところまでよく記憶しているのを思い出して聞く。
「無所属。かといって中立でもない。ただ黒から逃げまわるだけの、若手にようあるパターンやったな。
 石井がそもそも慎重派やったから、“白ユニットも頼りにならない”言うとったわ。……これは俺らの責任がデカいけど。石井は
 自分たちの安全が保証されるんやったら黒でもええって思うとったみたいやけど、石塚は黒を怖がっとった。尋常やないぐらい」
「まあ、あいつは怖がりやけど……なんでそこまで」
「さあ……石井はともかく、弱小能力の自分は使い捨てられるって思っとったんやろ。
 あの頃はまだ量産型の石もなかったし、石井に負担かかる構図は変わらんからな。
 俺はその所為でb.A.dもすぐ抜けたんやないかと思うとったわ。ほら、あそこには海砂利がおったから」
「その石塚がいまさらになって黒に自分を縛りつける理由……」
「あん時、石井が考えとったことを石塚がやっとんねん。そんだけのことや」
話について行けず、X-GUNの二人を見くらべる土谷はそこでふと閃いた。ことは急げとばかりに口を開く。
「あ、あの……俺、ちょっと思いついたんですけど」


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