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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
840
:
Evie
◆XksB4AwhxU
:2015/11/22(日) 19:04:15
一方、屋上を出た石井も、冷静を装いながら速足で廊下を闊歩していた。時折すれ違う人間はそのただならぬ雰囲気に、
見て見ぬふりをして通りすぎる。誰もいない休憩所まで来ると、石井はガンッと壁に額を打ちつけて息を吐いた。
スピワの二人と話している間、拳はずっと固く握りしめられたままだった。白くなった手を開いて、ずり落ちそうになる体を支える。
「大丈夫だ……まだ、そうと決まったわけじゃない」
少し落ち着いてから稽古場に戻ろうと、背中を壁につけて深呼吸する。
そこで、「石井さーん」と自分を呼ぶ小さな声が廊下の向こうから近づいてきた。見ると、ななめ45°の土谷が駆け寄ってくる。
「石井さん、話終わりました?」
「えっ?ああ……ちょっと誤解があったみたいだ、大したことじゃない」
土谷はそれでなんとなく察したのか、「そうですか」と顔を曇らせた。汗ばんだTシャツの下にカプセル型のチャームが揺れている。
石の事情を知る者同士では、会話が短くて済むので楽だ。
「あ、そういえば石井さんに報告があったんでした」
土谷は思い出したように手を叩く。
「あの、石塚さん帰っちゃったんですけど……大丈夫ですか?」
「今日の分はだいたい終わっていたから、問題ないよ。小道具の点検も終わったし」
「そうですか。でも……なんか具合悪そうだったんですよね、岡安が“やっぱり心配だから見送る”って外出たんですけど、
もういなかったらしくて、帰って来ちゃったんですよ」
それに、石井はかすかな違和感をおぼえた。
「いなかった?……ロビーにも?」
「あ、はい」
それがどうかしました?と訝しむ土谷に構わず、石井はしばらく眉をひそめて考えた。が、違和感の正体は結局見つからなかった。
「元々のシナリオよりやや早めに進んでいますね」
小林はノートをぱたんと閉じて、伊達眼鏡を外した。はああと息を吹きかけシャツの裾で拭くと、また元通りにかけ直す。
「白に存在を知られた以上、あとは時間の問題か。欠片の用量を増やすってのはどうだ?」
隣に座る土田が提案すると、小林は首を横に振った。
「いえ、まずは俺がシナリオを書き直しましょう。彼のプラチナルチルは欠片への耐性が強いようですからね」
「さすがは希少石といったところか。あいつが浄化されて使えなくなる最悪の事態だけは回避しておきたいな。
シナリオで完全に動きを制限するのがいいか、どうせ知られるなら、プラチナルチルを直接穢すか……どうする?設楽」
設楽は肘かけに頬杖をついて、チェス盤をとんとんとせわしなく指で叩いていた。
考えがまとまったのか、背もたれにぐっと体を預けて天井を見上げる。
「……いや、欠片の処方は今までどおりでいい。予定より早いけど、舞台装置を動かすことになりそうだ」
設楽の指が、チェス盤の上に並んだ白いポーンの一つをピシッと弾く。ポーンは盤上を黒の陣地まで転がって、
黒のクイーンにぶつかって止まった。
「石塚はマリオネットじゃない。選ぶのはあいつだ」
「はあっ……はあ、しつけえなあいつら!!」
走るトシの頭の中でエンドレスループするのは、『翼をください』のサビ部分。
少し遅れてついてくるタカは、最近さらにぽっこりしてきたお腹を震わせて、そろそろ限界です、と手を振る。
そもそも、自分たちが名前を知らないのだから大したことないだろうと思ったのが間違いだった。
普段から黒の若手に「油断するな、相手を舐めてかかるな」と半分説教のようなことを言っていたのに、
疲れていたのでつい「まあいっか、テキトーで」と思ってしまった。
悪いのは自分たちに尻拭いをさせる黒の若手だ、いや、もっと言うと過密スケジュールの自分たちに(まるで隙間産業のごとく)
任務を入れてくる黒ユニットのせいだ。トシは、これが終わったら一言文句を言ってやろうと心に誓う。
「あーもう無理!限界!」
振り返ると、タカが足をもつれさせて転んでいた。助け起こすと、「もうダメ」と地面にへたりこむ。
トシも、頭皮まで真っ赤になった顔を手でパタパタと仰いで冷やす。と、遠くからパタパタと足音が聞こえた。
あわててタカを路地裏に引っ張りこむと同時に、さっきまで自分たちがいた道に白の追手が走りこんでくる。
「どっち行った?」
「わりい、見てねえ」
「チッ……じゃあ、俺が向こう探すから。お前はそっちの地下道探せ」
「分かった」
白の追手は短く会話を終えると、まるで見当違いの方向に走っていった。
一瞬ホッとしたが、ここから逃げるためにはどうしても地下道を通る必要がある。白の追手とかち合わせずに駅の向こう側に出られればいいが、
その可能性はゼロに近い。おまけに、二人ともかなり体力を消耗している。正面突破は無理そうだ。
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