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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

834Evie ◆XksB4AwhxU:2015/11/18(水) 22:25:34

『俺ら、キャブラー仲間だろ?』

「キャブラー……」
小杉は雷に打たれたように立ち止まった。先を急いでいた浅越も吉田も、振り返って怪訝な顔で見る。
「せや、深沢さん……あいつのこと、キャブラーいうとった」
浅越は少し考えて、「ボキャブラ天国ですか」と答える。小杉は頷いて、また走り出しながら続けた。
「あの番組、大阪吉本はあんまり力入れとらんかったから……浅越が聞いたんと一致するわ。
 キャブラーで俺らと同期で東京の芸人いうたら、誰がおる?だいぶしぼれてくるやろ」
吉田は頭の中で検索をはじめた。NSC13期はJCAの3期に対応する。しかし結成年を基準にするか、デビュー年を基準にするかでも異なるので、
それも含めて計算する。走りながら、吉田の頭の中で普段付き合いのない同期芸人達の顔が浮かんでは消えた。
「東京03……は、キャブラーやないから除外。坂道コロンブス……にしては背高いし、これもちゃうな。
 アンタッチャブルは白って決まっとるし……飛石連休、も条件が合わん」
うーんと考える吉田の隣で、浅越が「あ」と声を上げた。
「俺、分かったかも……小杉さんは?」
「さっき思い出したわ。こんなとこで同窓会はしたなかったけどな」
角を小走りで曲がった小杉が、突然立ち止まった。
後ろを走っていた吉田と浅越は、小杉の背中にぶつかって止まる。
「おい、お前いきなり……深沢さん?」
吉田は、眼前に広がる光景に思わず言葉を失う。浅越も無意識のうちに拳を握りしめていた。
地面に仰向けに倒れた深沢と、その近くで膝に顔を埋めて座るサマーコートの男。
さきほどとは違い、フードが脱げて明るい茶髪があらわになっている。
「石塚ぁ!!」
小杉は怒りに任せてずんずんと近づき、胸ぐらをつかんで無理矢理顔を上げさせた。
が、振り上げられた拳は石塚に届くことなく下ろされる。
「……お前、やっぱり」
その先は伝えられなかった。石塚は一瞬の隙を突いて小杉を突き飛ばし、逃げていく。
「石塚!」
吉田も追いかけようとしたが、倒れたままの深沢が目に入り足を止めた。
倒れたままの深沢の隣に膝をついて、浅越が肩を貸す。撃たれた傷は治っていたが、まだ体が辛いのか苦しげな呼吸を繰り返していた。
「大丈夫ですか?」
「……ああ、お前こそ平気か?……早く、浄化……しないと、な」
「しゃべらないで下さい、まだ無理せん方が」
「……俺が、甘かった。浄化してやれば、終わりって……わけじゃ、ないんだな」
「何の話ですか?」
深沢は答えず、突き飛ばされて尻餅をついたままの小杉に目を向けた。
小杉は立ち上がることも忘れて、さっき自分を突き飛ばした石塚の顔を思い出していた。握りこんだままだった拳を開いて、
石塚が走り去った方角を見つめる。
「……泣くんやな、黒のくせに」

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