したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

832Evie ◆XksB4AwhxU:2015/11/18(水) 22:21:16
そんな簡単にいくなら、設楽さんはとっくに浄化されてますという回。
想像以上に長くなりそうでどうしようと思ってます。深沢さんがガムボールを使っているのは、『球体』で
小さく持ち運べるものが少ないから、という理由をつけてますが、出せませんでした。

【Deep down inside of me-2-】

ブラマヨの二人が浅越を連れてその場を離れると、深沢も石塚の胸ぐらをつかんでいた手を離して荒い息をつく。
「あだっ」
足がもつれて、尻餅をつく。深沢は痛みに腰をさする石塚の前にしゃがんで、顔を隠していたフードを脱がせてやった。
地面にぺたんと座ったまま見上げる顔からはすっかり毒気が抜けて、瞳は微かに震えている。
「……そんな顔するなよ。俺は、お前のことちゃんと全部分かってるから。石井は知らないんだろ?」
石塚は黙りこくったまま、小さく頷く。
「……そうか。そうじゃないかと思ってた。あいつ、スタッフとか後輩には厳しくてもお前には優しいから。
 石井がこの事知ったら、きっとただじゃおかないだろうな。黒に捨て身で特攻するぐらいやるぞあいつは」
光をフレアのようにまとった球を指で弾くと、あっという間に小粒のガムボールに戻った。
それをぽいっと口に放り込んで、奥歯で噛む。
「甘っ」深沢は当たり前の感想と共に味のなくなったガムを飲みこんだ。その態度があまりに普段通りなので、
石塚は立ち上がることも忘れてぽかんと見つめる。
「深沢さん、なんで……なんで、怒んないんですか」
「なんで怒る理由があるんだよ。責められるべきはお前じゃない。それに……お前は優しすぎる奴だから。
 どうせ石井を人質にとられてるんじゃないのか、そうだろ?」
てっきり責められると思っていた石塚は、予想に反した温かい言葉にとうとう泣き出した。
「何泣いてんだよ、ん?安心しろって、まだお前のことは誰にも言ってないから」
えぐえぐとしゃくり上げながら震える肩を軽く叩いて、深沢も熱くなってきた目尻を指で拭う。
「大丈夫だ、今ならまだ戻れる。浄化してもらって、ブラマヨと浅越に謝って、それで終わりにしよう。
 俺が一緒に行ってやるよ」
深沢の説得に、心の中の天秤はもう一度白に傾こうとしていた。しかし、優しい笑顔と一緒に差しのべられた手をとろうとした瞬間、
水面に一滴の墨汁を落としたように、いくつもの声が耳の奥で響く。

『君との間に隠し事はしたくない』『守られるより、守る方がいい』『君は僕の後ろにいてくれ』『本当に、石は持ってないんだね?』
『僕は案外君を観察してるんだ』『君からは目が離せないな』『嘘をついた時点でお前はもう、石井を裏切ってるってこと』

石塚は手をひっこめて、耳を塞いだ。その間も黒の欠片の残骸が、頭の中で嘲笑う声は止まない。
「どうした?おい」
心配そうな深沢の声も今の石塚には届かない。狙いすましたように、手がまた小刻みに震えだした。
(……あ、前に欠片を飲んだのって、いつだっけ?)
石塚がそれの意味するところを理解した瞬間、声がさらに大きくなった。

『裏切り者』 『嘘つき』 『許さない』『許さない』『許さない』『許さない』『ゆるさない』

声は、いつの間にか石井のものに変わって耳元で響く。
歯がカチカチ鳴って、脳を直接かき回されるような痛みが押しよせる。正常な思考が徐々に黒い海に沈んでいった。
「……、不愉快なんだよ」
「え?」
聞きとれなかった深沢が、口元に耳を近づける。石塚は低い声でもう一度繰り返した。
「……いい年こいてガキみたいにイキがってんじゃねえよ、不愉快なんだよ」
普段からは考えられない傲慢な口調でつぶやくと、くくっと押し殺したような笑い声を漏らす。
「石塚!……くそ、呑まれるな!しっかり……」
ただならぬ気配に、深沢は石塚の肩を掴んで揺さぶる。
直後、乾いた破裂音が連続して響き渡った。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板