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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
821
:
Evie
◆XksB4AwhxU
:2015/11/07(土) 19:15:25
なぜかさまぁ〜ずの二人はいなかった。都合がつかなかったのかと思い直して、そっと向かいを見る。
(あ、あれ、猿岩石の。たしかほぼ同期だったような……)
有吉は退屈そうな顔で酒を飲んでいた。表情があるのに少し安心するが、口をきいた事もないのに声をかけられそうにない。
(その隣にいるのが、なんだっけ、いつもここから?一人しかいないけど……うわ、ネプチューンまでいる!)
堀内は石塚と目が合うと、なぜかしーっと指を唇に当てた。意味が分からず顔を背ける。
すると、もろに小林と目が合ってしまい、あわてて下を向く。
(……やばい、スゲー居心地わるい……)
やがて、小林が隣の設楽に何やら目配せした。
「……じゃあ、今日は転校生がいるからね。みんなに紹介しよっか」
設楽が手を叩くと、全員食べるのをやめて箸を置いた。
「知ってる人もいると思うけど、アリtoキリギリスの石塚義之くん。
俺とは同期の桜だから、みんな仲良くしてやって」
ややふざけた挨拶に、まばらな拍手が起こった。石塚はとりあえず軽く会釈をする。
設楽は今度は石塚の方を向いて、飲め、というように杯を差し出した。
「歓迎するよ。本能に忠実な奴は嫌いじゃないからね。これはほんの挨拶代わりに」
口をつけるが、水を飲んでいるように味気ない。心なしか、設楽の声がいつもと違うような気がした。
「そういえば、さっきから一言も喋ってないよね。どうしたの?お前らしくないじゃん。
慣れない場所で緊張してる?それとも……俺が怖い?」
「えっ……」
いきなり核心を突かれて、杯を取り落とす。幸い、下がやわらかい座布団だったおかげで割れなかった。
「お前の考えてることなんて手に取るように分かるよ。素直だし、感情がすぐ表に出る」
設楽は実に面白そうな笑みを浮かべて、落ちた杯を拾い上げた。
「お前は賢い選択をしたんだ。そうだろ?だって、お前はいつも不自由だったもんね」
「言ってる意味が……よく分かんないんだけど」
また酒が注がれ、石塚の前に杯が来る。
「お前は常に、周りの奴らが望む姿をモンタージュみたいに作って生きてるってことだよ。もっと言えば、
いつも石井の言うとおりに動いてる。石井の背中の後ろに隠れて、おとぎ話のお姫様みたいに守られて。
キャブラー大戦の時だって、そう……」
石塚はその単語が出た瞬間、杯をつかんで、設楽の頭から中身をぶちまけた。
その場がざわめく。幹部の設楽に楯突くなど、黒の芸人たちのほとんどが初めて目にする光景だった。
「もしかして、怒った?」
髪から日本酒の匂いのする水滴を滴らせ、設楽は引き笑いを漏らす。隣の小林も土田も、たった今起こった出来事に
驚愕の表情を浮かべていた。急に訪れた静寂に、石塚は杯を持ったまま、はっと気がついて狼狽え始めた。
「あ……ちが、これは……」
「何が違うの?お前今、すごい顔してるよ。よっぽど石井が弱点みたいだね。でも……なんの心当たりも
なかったら、こんな事しないよね」
小林はそこで気づいた。さっきから設楽が紡いでいた挑発的な言葉は、すべてこの為にあったのだと。
設楽のポケットに入っているソーダライトが、布地の下で輝きを放つ。
同時に、石塚の目の前が真っ暗になった。頭の中に設楽の声が何重にもなって響く。
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