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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

810Evie ◆XksB4AwhxU:2015/11/02(月) 20:49:02
続きが読みたいと言って下さった方がいらっしゃったので投下。
ちなみにタイトルはホリプロ繋がり。

【ekou-2-】

「お前の選べる道は二つだ」
三村は台所で勝手に水を汲むと、一気に飲み干した。
「石井について洗いざらいぶちまけて自分の身を守るか、それとも俺達に“駄賃を払う”代わりに石井からの信頼を守るか。
 ……前者の方がお手頃だと思うがな」
「俺に、相方を売れって言うんですか」
カッターナイフを持つ手が小刻みに震える。大竹がその手に自分のを重ねて、凶器を下ろさせた。座れ、と顎でうながされ、
そのまま床にへたりこんだ拍子に、ポケットから白金色の鉱石が転がり出る。それを握りしめて、心臓を落ち着かせる。
(たとえ俺がここで石井さんと話したことを吐いても、その一度で終わるわけない。
 その弱味につけこまれて、気がついたら黒の操り人形にされるだけだ)
大竹は黙ったまま、成り行きを見守っている。思考は頭の中でぐるぐる回って、まとまらない。
(どう答える?なんて言えばこの場を乗りきれるんだ?……だめだ、思いつかない!!)
石塚は見えないよう、後ろ手にそっとケータイを開いた。操作は見なくても覚えている。電話帳を開いて、あ行から石井の番号を出す。
(……よし、あとはダイヤル……)
決定ボタンを押そうとした。瞬間、三村の手が伸びてきて、それを取り上げる。
「あ!」
「……人が話してる時にケータイいじるのは、よくねえなあ。……石井に何の用があったんだ?」
ん?と画面の番号を見せつけられる。三村の顔からみるみるうちに笑顔が消え去った。
「助けてくれ、とでも言うつもりだったのか?……お前、それはねえだろ。……石井は110番じゃねえ。
 そろそろ答えろ。相方か、それとも自分か」
電源ボタンが長押しされて、画面に一筋の白い線が走った。電源の切れたケータイを返され、石塚はいよいよ逃げられない事を悟る。
イエスか、ノーか。その二択しかない。そして、どちらを選んでも、さまぁ〜ずが約束を守るとは限らない。

(……そんなの、選べるわけねえだろ……!)

二人の良心を揺さぶれたとしても、その上にいる設楽は甘くない。設楽の人を喰うような笑みが思い出されて、背筋が震えた。
石塚はゆっくりと顔を上げた。ごく、と唾液を飲みこんで、からからに乾いた口を開く。
「俺は……」
その後に続く言葉は、喉につっかえて出てこない。怖い。決意を決めているはずなのに、声は情けなく震える。
「さっさとしろよ。こっちも時間がねえんだ」

「俺は、絶対に……石井さんを裏切りたくない。石井さんを傷つけるなんてしたくない!
 あんたたち黒の好きになんかさせない!」

その答えに、三村はため息をついて首をひねった。後ろの大竹に「どうする?」と振り返って問う。
「こいつの意思を尊重してやるしかねえだろ。石井に負けず劣らずの頑固さだ。ただ……」
最後につけたされた言葉に、石塚は知らず知らずのうちに拳を握りしめていた。


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