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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
800
:
Evie
◆XksB4AwhxU
:2015/08/05(水) 16:56:43
「なあ」
「何や」
「嵯峨根さんに詫び入れようと思うんだけど、ついてきてくんね?」
「……一人で行け」
「そんなこと言わずにさあ!俺あの人の腕へし折っちまってんだぞ!?しかも両方!
なあ頼むよ、遠くから見ててくれるだけでいいから!」
「はいはい、分かった分かった」
松本は適当な返事をしながら、携帯電話をテーブルの下で開いてメールを打つ。
終わると、壁にもたれてお冷を一気飲みした。まだ石の押し付け合いを続ける二人を横目で見て、呟く。
「俺も、芸人失格かもしれんな」
「どういう意味だよ」
「ずっと考えとったんや。お前はほんまは俺達みたいで、俺達はただ運がよかっただけなんやないかって。
ただほんの少しお互いの解釈が違っただけで、お前らのしでかしたことが全部お前らの所為っていうわけやないんやろ?」
有田はまた考えこんでしまったが、やがて「そうか」と納得したように下を向いた。
「俺たちに大した違いなんてなかったって事か。そういやお前も楽しそうだったもんな、あの時」
10年前と変わらない黄鉄鉱を掌に乗せて眺める。
「この石は俺たちの歩んできた道を示してたなんて、誰が分かるってんだ」
やがて、店員が「いらっしゃいませー」と間延びした声で挨拶するのが聞こえてきた。
店内に入ってきた男二人は、席に案内しようとする店員を断って座敷へ入ってくる。
「あっ」
木村が有田の後ろに立っている細身の男を指さして、某大物芸人の「うしろうしろ!」のギャグの如く口をパクパクさせた。
いつの間にか肉の奪い合いに変わっていた加賀谷と鍛冶も、野菜を焼いていた上田もその声に振り返る。
「なんだよ……さっ、さがねさん……なんで、ここに……」
振り返ったまま、固まってしまった有田の顔を見て、嵯峨根は面白そうに笑った。
続いて入ってきた西尾は、顔を背けて合掌する。
「なんでって……今度こそホンマに白黒つけるんやろ?」
携帯をパカッと開いて、さっき送られたメールを見せる。
『TO:さがね正裕
黒ユニットとの本土決戦に志願しました。
少しでも前に進みたいというお気持ちがあるのでしたら、X-GUNのお二人もお力添えをお願いします。 松本』
驚く有田に、両手を広げた嵯峨根は台詞がかった声色で続ける。
「昔のことはもう意味なんかないんや。俺たちは手を取り合わなあかん」
「嵯峨根さん……」
少し感動している有田に向かって、西尾はそれまでの空気をぶち壊す一言を放った。
「せやから……晩飯、奢ってや。それで昔のことはチャラにしたるから」
数十分後。
そこには、財布を下に向けて肩を落とす上田と、西尾に肉をあらかた食べられて落ち込む有田の姿があったという。
【終】
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