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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

799Evie ◆XksB4AwhxU:2015/08/05(水) 16:56:05
思えば四ヶ月もかかってしまいましたが、最終話です。
投下は初めてでしたが、こんな作品でも面白いと言ってくださった方に感謝です。

『We fake myself,can't run away from there-9-』

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ほどよくビールが入ったところで、鍛冶が思い出したように呟いた。
「あ、そういえば肝心なこと聞いてませんでした。木村の石ってどうなっちゃうんですか?」
「あぁ、そうだな……」
上田は箸で肉をつつきながら、考える。
「そりゃ、芸人やめたらもう使えねえよ。いずれ石が別の持ち主に巡りあえば、そいつのもんになるが……
 キャブラー大戦期の石だって、まだ持ち主が見つからなくて野良石ってのもあっからな」
「いやいや、松本は今度芸人に復帰すんだろ?ていうことは、松本に所有権が戻るんじゃねえのか?」
有田の一言で、また上田はうーんと考えこんでしまう。
「とはいえ、お前らの石はコンビでワンセットだからなあ……今まで、一つの石に二人の持ち主ってのは例がねえし……
 そん時にならねえと分かんねえな。木村はどう思う?」
「俺も、上田さんが言うとおりだと思います。まあ引退は近いし、その時を待ちますよ」
口いっぱいに詰め込んだ肉をもぐもぐ咀嚼しながら、木村は呑気に答えた。
「ただ、鍛冶の石だって木村がいなけりゃ使えねえってわけじゃねえだろ。例えば、鍛冶が能力を発動しても、
 味方が避けることさえ出来りゃいいわけだ。バリア張ったりテレポートで逃げたり、いくらでもやりようはあんだろ」
有田のアイデアに、鍛冶をのぞく三人がそろって頷く。
「つまり、俺はまだ戦えるってことですか?」
「まあ、役無しの身になるのは当分先だろうな。お前もその方がいいだろ?」
「はあ……」
鍛冶はまだ釈然としないようだったが、隣で勝手に盛り上がる“初代”の二人をちら、と横目で見た。
快気祝いとばかりに肉を頼みまくり、話し合う自分達には目もくれずに食べている。
「……あのー、加賀谷さんに聞きたいことあるんですけど」
「後にして、今お肉裏返すベストなタイミング測ってんの」
「肉より大事な話なんですよ!ちゃんと聞いてください!!」
鍛冶が大声を上げると、びっくりした拍子に滑った箸が炭火に落っこちた。
「あぁ……」
燃える割り箸を切ない目で見つめる加賀谷に、物凄い勢いで罪悪感がこみ上げてきたが、それはそれだ。
「このオニキスなんですけど」
鍛冶は言うなり、自分の石をテーブルに出して加賀谷の方へ滑らせる。
「あ、それはもちろん鍛冶くんに差し上げます」
加賀谷は箸の先でそれを鍛冶の方へ押し戻した。
「いやいや、先輩なんだから加賀谷さん持っといてくださいよ」
「いやいや、鍛冶くんのほうが若いんだから先輩を労ってよ」
二人の間でぐいぐいと、寄せられては返しを繰り返す石。その様まるで大岡裁きのごとし。

「……アホや、あいつら」
松本がぽつりと呟く。
「……石って、似たような奴を選ぶもんだな」
有田もそれに同意した。


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