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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
794
:
Evie
◆XksB4AwhxU
:2015/07/07(火) 20:19:34
「木村!!」
思わず無防備な木村に覆いかぶさった上田の脳は、まとまりのない思考が浮かぶ中、火花を散らしてフル回転していた。
俺は何をしているんだ。俺の石じゃ何も出来ねえってのに、なんでこんな縁もゆかりもないビルで、
特に仲いいわけでもない芸人庇ってんだ。本当なら家でのんびりテレビでも見てたんだろうに、なんだってこんな面倒事に巻き込まれてるんだ。
「……やめろ」
低い声で呟くが、パイプ椅子を引きずった中年男の耳には届いていない。もうダメだと目をつぶりそうになった自分を叱咤して、
木村の前に立ちふさがる。今逃げてどうする、こいつら二人は自分を信用しているからこそ頼ってくれたというのに。
「……やめろっつってんだろ」
「上田!」
なんとかホウキの攻撃を受け止めた有田が目を見開く。上田はきっと顔を上げて、パイプ椅子を引きずる男を睨みつけると、
喉の奥から絞り出すような叫び声を上げた。
「お前ら黒はどう思ってるか知らねえけどなあ……今ここにいる俺は、白として、こいつらを傷つけさせるわけにいかねえんだよ!!」
男はその気迫に押されたのか、虚ろな目のままぴたっと動きを止める。引いてくれるのかと一瞬期待した時、
上田にとっては非常に懐かしい声が耳に届いた。
「ワンちゃん、ごらん。あれが関西で言うとこのイキリやで」
「うわー、はずかしー」
瞠目した上田が振り返った先にいたのは、十年の時を経てはいるものの、変わらない見た目の二人組。
加賀谷は少し(かなり?)ふくよかになっていたが、若いころと同じく人懐っこい笑みを浮かべてぶんぶんと両手を振っている。
「……お前ら」
松本がハッと気づいたように笑顔を消して、一気に駆け寄ってきた。
「なんだ、再会のハグか!?」
「するか!」
体を半分回転させて、両手を広げた上田をスルーした松本の足の行き先は、上田に襲いかかってくる男の腹だった。
鈍い音がして、男は盛大に吹っ飛ぶ。壁に背中を激突させて、男の胸からごほっと空気が漏れた。
男はそのままずるずると床に倒れこみ、気を失った。
「わりい、ボーッとしてた……ていうか、なんでお前らここにいんだよ!加賀谷はいつの間にシャバに戻ってたんだ!?
聞きてえことが山ほどあるわ!」
「話は後や、とりあえずこいつら蹴散らすで!……せやけど、あれ使えっかな?有田、ちょっとの間そいつら頼むわ」
「おう……って、全部俺か!?」
有田はくっそおお、と叫びながらも、退却した三人の前に立ちふさがってモップを振り回す。滅茶苦茶な軌道を描くモップに、
操られた人々は本能的な恐怖を感じたのか、少しだけ後ろに下がりはじめた。
松本は木村の隣に膝をつき、その頭に手を置くと、後ろの加賀谷に合図する。
「えーと、鍛冶くん……でいいんだよね?」
「あ、はい……はじめまして、オニキス継がせてもらってます……さくらんぼブービーの鍛冶です」
「疲れてるところ悪いんだけど、もうちょっとだけ頑張ってもらってもいいかな?」
「はい……でも、どうやって?」
加賀谷は両手でそっと鍛冶の手をとって、握りこまれたままだった黒瑪瑙を懐かしそうに撫でて語りかける。
「ひさしぶりだね。十年前はいきなり消えてごめんなさい。でも、僕を許してくれるなら……
鍛冶くんに僕の力をあげて!」
やがて、石が大きく鼓動するように光を放った。鍛冶の体にじんわりとあたたかい感触が広がっていく。今までだらんと力の抜けていた手足に、
再び活力が満ちて全身の神経を電気が駆け抜ける。
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