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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
789
:
Evie
◆XksB4AwhxU
:2015/06/19(金) 21:37:35
「償おう」
その一言に、有田がゆるゆると顔を上げる。
「今からでも遅くない。過ちを認めて、やり直そう。そして、今よりもっとまともな絆を結ぶんだ」
「……簡単に、言ってんじゃねえよ……」
有田は立ち上がって、上田の胸ぐらをつかむと、前後に激しく揺さぶった。
「いまさら、どうやって許してもらおうってんだよ!土田が言ったとおりじゃねえか、そんな都合よくいくわけねえ!
白からも黒からも追われて、潰されるだけだ!」
「それは、何もしなくても同じだ!!」
有田を引き剥がし、呼吸が落ち着くまで待つ。
「……どうせどちらからも恨まれるなら、やるだけやってみてもいいだろ。怖いなら、俺の後ろに隠れてろ。守ってやるから」
「バカ言ってんじゃねえよ」
有田は袖口で涙をごしごし拭くと、上田をピッと指さして鼻を鳴らす。
「コンビだろ、勝手に野垂れ死んだら許さねえぞ」
「それは……」
「そうと決めたら、とっとと帰るぞ。明日から土下座と泣き落し外交で忙しくなるからな!」
肩をぐるぐる回してさっさと歩き出す相方に、上田も気の抜けた笑みでついていく。
「最初はやっぱ加賀谷ん家だな。朝イチで玄関開けたら今をときめく海砂利の土下座だぞ?ぜってーウケる!」
こんな時までボケてどうすんだ、とツッコもうとして、やめる。
別に涙がこぼれそうなわけでもないが、上田は空を見上げた。さっきまでの雨が嘘のように、空は晴れ渡り、紫と青のグラデーションの中に星が瞬いていた。
その日の夜、都内某所で虹色の光が爆ぜるのを見たと通報があったが、警察が駆けつけた時には何もなく、ただの悪戯として片づけられた。
そして、翌日……
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
これがひとつの物語だとしたら、まるでそのページだけ破り捨てられたかのように、昨日の記憶がぷっつりと途切れている。
いや、昨日だけではない。頭の中に、ぶつ切りになった過去の記憶がふわふわと浮かんでいるようだ。
そして、何より……
「これ、なんだ?」
頭をがしがしかきながら、ガラスのような光沢のある石を眺める。買った覚えも、ましてや誰かにもらった覚えもない。
さて、仕事に出かけるかとジャケットに袖を通したところで、ポケットに違和感。見た目は大理石に似ているが、名前までは分からない、石。
「実はさ、俺も……なんだけど」
有田が取り出して見せたのは、一見すると黄金とも見間違うような真鍮色の多面体。
「朝起きたら床に落ちててさ」
「……なーんか、気味悪いな」
「売るのも怖えし、捨てちまおうぜ」
「だな」
今回ばかりは有田の言うとおりだ。こんな怪しい石とは一刻も早くおさらばしたい。
二人は石をティッシュに包むと、くしゃくしゃっと丸めてゴミ箱に捨てる。見計らったようなタイミングで、ドアが開いてADが呼ぶ。
「海砂利さーん、リハーサル始まりますんでスタジオに集合してくださーい」
「あいよっ……んじゃ、今日も頑張りますか」
有田はどうやら絶好調らしく、スタジオまでずっと笑顔だった。
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