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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
788
:
Evie
◆XksB4AwhxU
:2015/06/19(金) 21:35:32
『ていうか、そもそもなんであの二人まで来てんだよ』
『いつも後輩に奢ってるから、お返しってことで』
『おい、まさかX-GUNさんが食った分も俺が出すのか!?』
誘った張本人の加賀谷は、悪びれずにパクパクと肉を食べている。畳にばたんとノビた有田の頬を、酔っ払った嵯峨根がさきいかで突いている。
カオスとしか言いようのない光景に、上田は『どうしてこうなった……』と言うしかなかった。
『あ、カルビもう一枚追加で』
『加賀谷てめえ、さっきから何枚食う気だよ!』
『おまたせしましたー』
店員の声に振り返ると、今まで大人しく野菜を焼いていたはずの松本の前に、巨大なパフェがどんっと置かれていた。大きなグラスには色とりどりのアイス、
たっぷりの生クリーム、トロピカルフルーツにチョコレート……ド派手な色合いは、見てるだけで奥歯が痛くなってきそうだ。
『シェフの気まぐれジャンポパフェでございます。ごゆっくりどうぞー』
店員が行ってしまうと、一心不乱に食べ始める松本。上田は、三枚になった伝票を恐る恐るめくってみた。
『ジャンポパフェ、一万円……!!?』
わなわなと、伝票を持つ手が震える。合計金額はすでに五万円を超えていた。
『自分では絶対頼まんからなあ、こういうの。あ、俺にもくれるか?これ、全員で食わんと無理やろ。
いやー、ジャンポパフェはデブの憧れやしな!一度は食べたいっていう気持ち、分かるわあ』
何故か西尾はうんうんと頷き、生クリーム部分を器用に取り分ける。
『あ、僕はソフトクリームのとこもらっていいですか?』
『ずるいわあ、ほんなら俺はメロンもらうで!』
酔い覚ましとばかりに果物を狙う嵯峨根。いただきまーすとパフェにかぶりつく男たちを見ているうちに、
上田の額に血管が浮き上がり、全身から怒りがこみあげてきた。
『てめえら……ちょっとは遠慮しろ!俺の金だぞ!!』
『キャー上田さんこわーい……あだだだ』
おどけて体をくねらせる加賀谷の頬を思い切り左右にひっぱってやると、両手をばたつかせて抵抗した。
あはは、と焼肉屋の座敷に笑い声がこだまする。上田もいつの間にか、涙目になりながらやけっぱちで笑っていた。
今からは想像もつかない平和な光景。
思えば、この時が一番幸せだった。平気で高い肉を頼み、ビールを飲みまくり、勝手に他の芸人を連れてくる松本ハウスの二人。
俺たちを破産させる気かとよっぽど怒鳴ってやろうかと思っていたが、特訓も楽しかった。(いつもストレス発散を兼ねてかボコボコにされていたが)
白も黒も関係ない。ただ、仲間と一緒に楽しく、バカをやっていたかった。それを手放したのは他ならぬ自分達で…捨てたはずのそれを、ずっと求め続けていた。
今から思えば遠い昔のような、たった一年前の日々。それを奪ったのは、何か?
「ああ……そうか」
「有田?」
「俺、最初っから……このままでいたかったんだな」
有田は両手で顔を覆って、その場にうずくまった。
「あの時、土田の手を振り払っていたら……いや、嵯峨根さんの手をとっていたら……」
「違う」
上田も膝をついて、そっとその肩を抱き寄せた。目の前で騒ぐ男たち。過去の風景が徐々にぼやけて、遠ざかる。
まぶたを閉じて、開く。さっきまでと同じ、展望台。ただ、そこにはもう対馬の姿はなく。
「過去には戻れない。だけど、今をなかったことにはできない。だったら、やる事は一つだ」
有田の顔を上げさせて、しっかりと目を合わせる。
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