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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

767Evie ◆XksB4AwhxU:2015/05/06(水) 22:41:14
「(また……?)」

西尾は加賀谷を背負うと、自分に続くよう促す。
しゃがみこんで松本の腕をとった嵯峨根の手が、小刻みに震えているのを有田は見逃さなかった。
「あれ、嵯峨根さん……もしかして俺たちが怖いんですか?」
「____ッ」
その一言に、嵯峨根は分かりやすく肩をびくつかせる。
図星だったことに内心ほくそ笑みながら、有田は続ける。このまま行かせてしまうのは悔しかった。
「この前折ってあげた腕、きれいに治ってますけど……まだ痛みます?
 さっきも西尾さんにだけ石使わせて、自分は後ろに隠れてましたよね。
 また痛い目に遭うのが怖いんですか?」
「おい有田、ええ加減黙れ!!」
西尾の怒声にもひるまず、じっと嵯峨根の表情を伺う。
嵯峨根はしばらく青ざめた顔で目を泳がせていたが、やがてのろのろと松本を背負って西尾に続いた。
「……お前らがどんなに黒で上に行こうが、忘れようが……お前らのしたことはお前らに帰るんやで。絶対にな」
「へー、そりゃ楽しみですね」
話しても無駄だと悟ったのか、西尾はくるりと背を向けた。
「……嵯峨根、行こか」
嵯峨根が頷くと、それきり二人は振り返らずに歩いて行く。
その姿が路地の向こう側に消えると、ようやく能力が解けて体が軽くなった。
「……っぶ、はっ!……くそ、首痛え……」
「おい、有田」
隣で固まった肩の関節を回しながら、上田が聞く。
心なしか眉間にしわがより、怒ったような表情。
「なんであんな挑発するような真似…」
「別にいいだろ?借りを返すとか言うけど、どうせ口だけなんだし。
 嵯峨根さん、トラウマで石使えなくなってんのかもなあ」
ケタケタ笑う有田の目を見て、上田は絶句する。
まるで空洞のように無機質な瞳は、黒に入る前は見たことのない目だった。
「なーにビビってんだよ。
 お前にゃ何もしねえって、相方なんだからよ」
有田は立ち上がり、ズボンについた土埃を払い落とした。
「ほら、帰ろうぜ…とと、わりいな。対価の支払が始まったみてえだ」
上田を立ち上がらせようと出された右手は、肘から先が石になっていた。
代わりに差し出された左手と、有田の顔を見比べる。
迷った末、上田はその手をとらずに立ち上がり、隣に続いた。


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