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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

766名無しさん:2015/05/06(水) 18:46:04
しぱっと鮮血が飛び散る。
ギリギリで回避したおかげで深くは傷つかなかったが、それでも加賀谷の動きを一瞬止めるには十分で。
有田の手には、本物よりずっと小さなダガーナイフがあった。
「わりいな、店で買うとシャレにならねえからよ」
足を切り裂かれた加賀谷を、糸を引いて自分のそばまで退却させて、松本も笑う。
笑いながら、次の一手を繰り出すために大きく踏み出し……彼の動きは止まった。

「……え?」

鼻孔から顎をつたう、生暖かい感触。
松本の表情が驚きの色を示す。恐る恐る手で顔を拭う。手のひらにべっとりとついた真っ赤な血。
「なん……や、こんなん、今まで……」
未知の出来事に混乱して、言葉が形にならない。
立ち上がりかけた有田も見えていないようで、後から後から溢れてくる鼻血を、必死に拭う。
「なんで、止まらん……止まれ、止まれ!」
やがて、ふっと糸が切れるように、松本の体が前のめりに倒れた。
同時に指に繋がっていた操りの糸が解けて、加賀谷が意識を取り戻す。
「キックさん!?」
倒れている相方に駆け寄ろうとして、体が動かないのを思い出した加賀谷が歯噛みする。
無力になった二人のポケットを、上田が探った。硬い感触に、そっと手を出して目的のものを確認する。
赤と黒の瑪瑙を指で握りこんで、見せつけるように加賀谷の眼前にかざす。
「もう一度聞こうか。
 俺たちと一緒に黒に来るか、それともここで人生終わるか?」
ぎり、と石に上田の指がかかる。冗談でないことは目を見ればすぐに分かった。
加賀谷は悔しそうに上田を見上げて叫んだ。

「黒に行くなら、死んだほうがマシです!!」

上田は興が醒めたというように頬を引き攣らせた。
その時、聞き覚えのあるけたたましい声が路地裏に響き渡る。
「キャー!デブに達する5キロ前!!」
同時に、海砂利の二人にずしっと重い衝撃がかかる。
例えるなら、体に重い鎧をまとったようだ。地面に倒れ、解けた上田の手から、石だけが鮮やかな手つきで抜きとられる。
「おっと、動くな……
 お前ら今、体重90キロくらいになってもうとるからな。負荷がかかって骨折れても知らんぞ」
得意気にふふんと鼻先で笑った男の姿が、月光に照らし出されてあらわになった。
「間に合ってよかったわあ、なあ西尾」
「ほんまにな。海砂利の行き先教えてくれた後輩に感謝感謝やわ」
背後から、相方.嵯峨根もひょっこり姿を現す。
有田はぎり、と奥歯を噛み締めた。
白ユニットの切り込み隊長としても知られるX-GUNの二人。何故かいつもいいところで現れては邪魔をしてくれる。
この前完膚なきまでに叩き潰してやったばかりだというのに、今日もまた懲りずに自分たちを追ってきたらしい。


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