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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
765
:
名無しさん
:2015/05/06(水) 18:44:38
【現在】
「こえー……土田さんこええ!!」
「それで?それでどうなったんですか!?」
ムンクの叫びのごとく頬をこけさせて怯える鍛冶の隣で、わくわくしているのを抑えきれない表情で先を促す木村。
まるで昭和の紙芝居に群がる子供のような仕草に、思わず顔をほころばせそうになって、止める。
笑いながら出来るような軽い話ではない。
「どうもこうも、次の日から追っかけ回したよ。
ボロ負けしたまんまじゃプライドが許さねえし……黒からどんなペナルティ喰らうかも怖かった。
命令無視ったり、任務に失敗したノーナシの末路は加入初日の時点で問わず語りに教わったしな。
あ、知らねえほうがいいぞ。マジでトラウマもんだから」
信号が青に変わった。
ここを渡りきれば目的地のビルは目の前だ。
雑踏にまぎれて横断歩道を渡る。
「ちょ、ちょっと待って……一旦休んできません?」
「おい、だらしねえぞ木村。ビルはすぐそこじゃねえか」
「今うちの事務所エレベーター故障してて……」
「……しょうがねえなあ…じゃあそこでちょっと休んでくか」
街路樹近くのベンチによっこらせ、と腰を下ろす。
思っていたより疲れていたのか、ゆるやかな痺れが足を駆け上った。
「ただ……たが同期のコンビに、黒の命令とはいえあんだけ執着してたのは何でなんだろうな。
悔しいとか怖えとか、そういうの以外に……」
「寂しかった、とか?」
隣に座る鍛冶が、上田の顔をじっと見つめて言った。
「……そうだな……あいつらもそうだったんなら、嬉しいな」
【過去】
「ぐッ……」
地面を味わうのはこれで何度目だろうか。
コンクリートに顔から倒れこんだ有田に、松本はため息をついた。
「お前らもよう飽きないな……毎日毎日男のケツ追っかけ回して何が楽しいねん」
「くそ……もっかいだ!」
ポケットから小瓶を取り出し、残り少ない黒の欠片を全部喉へ流し込む。
「う、ぐっ……っ、ぅ……」
舌の上でどろりと溶けて食道を落ちていく感触は、いつまで経っても慣れる気がしない。
有田は口元を袖口で拭うと、立ち上がった。
体の奥底から気力が満ちてくるようだ。黄鉄鉱も喜びの凱歌を上げるように鼓動している。
マスケット銃を肩口に乗せると、松本に狙いを定める。
「(……加賀谷の動きについてけんから、俺を倒そうってハラか……
ほんま、学習能力ないなこいつ。鼻の骨折ったろか?)」
松本は素早く腕時計を確認する。
規則正しく時を刻む秒針に、悪役めいた笑いがこぼれる。
石が戦いを求めるのか、それとも何度追い払っても喰らいついてくる有田のせいか。
「(……俺は、こいつを叩き潰すのが楽しくなってきてる?)」
松本は頭を振って、目の前の敵に意識を集中させた。
「(俺の石はワンちゃんとセットや。ワンちゃんの体力が尽きたらほぼ使えんに等しい…
発動時間は10分と少し。全力で動けるのはせいぜいあと5分)」
開きっぱなしの手を、ぐっと握りしめた。
柄にもなく緊張しているのか、汗が滴り落ちる。
「お、やる気になったみてえだな。いいぜ、そうじゃねえと面白くねえ」
「その強がりがずっと続けばええけどな」
あの夜、公園で決別した時から続く皮肉の応酬。
それを遮ったのは、有田のマスケット銃から放たれた銃声だった。
「チッ!」
横に跳んで避けると、有田が舌打ちする。
扱いが難しいモーニングスターの代わりに使うようにしたこのマスケット銃は、構造が単純で、大量に召喚できるわりに対価も軽い。
その代わり命中率は非常に低く、連射も難しい。
おまけに石の副作用で総鉄製になったマスケット銃は、死ぬほど重い。
「……つッ……」
反動が手首にかかり、思わず銃砲をとり落とす。
武器を失った有田の懐に、加賀谷が突っ込んでくる。
絶対不利のはずの有田は、二人には見えないように俯いたまま、薄く笑った。
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