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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

753名無しさん:2015/04/19(日) 22:27:07
松本ハウスが穏やかな昼下がりの休日を楽しんでいた同時刻。
海砂利水魚の二人は、海辺の倉庫で自分たちを呼び出した男を今か今かと待ち続けていた。
「おっせーな、土田のやつ…自分から呼んどいて遅刻かよ」
上田はくわえていたタバコを地面に落とすと、靴の踵で踏み潰していらだちを紛らわせる。
「お」
隣に立つ有田は、空気が震えるのを感じて顔を上げる。
「なんだよ」
上田も、有田が指さす方向を見た。

空がパリッと引き裂かれ、緑色の丸い大きな穴が生まれる。
両足を揃えて曲げた土田が「よっ」と軽いかけ声と共に飛び出してくるのを、ぽかんと口を開けたまま見つめる。
土田は鮮やかな着地を決めると、海砂利の二人に会釈する。

「すいません、打ち合わせが予想以上に長引いて……待ちました?」
「い、いや…そんなには……あの、今の…お前の能力?」
上田が、風景に溶けて消えていく緑色の穴を指さして聞くと、土田は頷く。
「最初は車で行こうと思ったんですけど、そこの国道で渋滞に巻き込まれたんで。
 近くに来たところで降りて、こっちで来たんです」
言うなり土田はくるりと踵を返し、目の前の海へ飛び込む。

「土田!?」

気でも狂ったかと、有田が手を伸ばす。
海面が裂けて生まれた赤い穴に、土田の体は吸い込まれた。

「こっちですよ」

にゅうっ、と上田の背後から現れた土田は、叫び声をあげかけた二人を手で制止して、地面に作った緑の穴を消した。
「お互いの手の内を知らないと、話し合いも何もないでしょう。
 こっちはあなた達の能力を知ってるんですから、公平に行かないと」
どうやら土田は黒とはいえ紳士的な対応を心がけているらしい。
左手にはまった指輪を見せる。
「俺の能力は見ての通り、緑のゲートから赤のゲートに移動する能力。
 ああ……首を締めたりとかは勘弁してくださいよ、一応ここも武器なんで」
とんとん、と自分の首を指の関節で叩く。
「(言葉を使った攻撃も可能…てことは、俺達の方が分が悪いな)」
思慮を巡らせる上田を見て、土田は肩をすくめる。
「そんな顔しないでくださいよ。
 俺の誘いに乗ったってことは、色よい返事を期待してもいいんでしょう?」
「……お前も食えねえ奴だな」
「褒め言葉と受け取っときますよ」
有田の挑発にも動揺しない。
「じゃ、時間もないんでさっさと行きましょう」
黄色い係留用ビットに腰かけた土田の前に、海砂利の二人もあぐらをかいて座る。


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