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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
733
:
名無しさん
:2013/09/22(日) 17:15:03
「――最近物騒というか、なんというかねえ……あ、そういえば何か変わったことあった?」
奥に座った三つ編みに眼鏡の女が、不意に問いを投げる。
いつ取り出したのか、手元には琥珀色の何か。窓から入る日の光を浴びて、淡く輝いている。
「変わったこと?……ああ」
主語のない質問に手前の女は一瞬戸惑ったが、目の前にある光から判断し、うっすらと笑みを浮かべた。
「……あれ、昨日からいくら探しても見つからなくてね。財布の中に入れといたはずなのになあとか、色々考えて」
それで思ったんだけど、と一つ言葉を区切り、語調を強める。
「……そういえばこの前の飲み会、割り勘だったなあって。小銭単位で、きっちり割って。
……あれ、小銭とそっくりだし、あれだけの人数がいれば、紛れてても気付かれそうもないし」
先輩と行く飲み会であれば、支払いは先輩が一手に引き受けてくれる場合が多い。
だが同期や後輩と行った場合はそうもいかない。
確かにこの前の飲み会もそういうささやかなものであったし、手前の女が言う通り、確かに「あれ」は小銭と似ているが……
しかしそれはいくらなんでも冗談がキツい。
訥々と並べられる事実と、妙におどろおどろしい語り口が、事の重大さを引き立たせる。
「いやいやいや、大丈夫なのそれ」
「……うん。さっき、自販機でお茶買ったときにお釣りの中から出てきたから」
耐えきれずに問えば、逆に予想だにしない答えが帰ってきた。
訝しげな表情を浮かべる奥の女はよそに、手前の女はポケットを探る。
証拠とばかりに取り出したのは、十円玉……ではない。
それが目に入るなり、奥の女の顔は呆れたものに変わっていく。
「……ねえ、エミコさん……なあんでその話、そのトーンで話すかなあ……」
奥の女――たんぽぽ、白鳥久美子が不服そうに言うと、手前の女――同じくたんぽぽ、川村エミコの笑みはいっそう深くなった。
「確かに『変わったこと』って言ったらそうだけどさあ……他になんかないの?」
「……残念だけど」
川村としてはなくしたはずの物が返ってきただけでも一大事なのだが、白鳥にとってはそうでもないらしい。
まあ期待されているのが他のことなのは重々分かっている。そっちの面での報告は皆無だから、結局何も変わっていないといえる。
川村は一つため息をつくと、はたと顔を上げた。
「あ……そういうそっちはどうなの?何か変わったこと」
「ん、私?私は……」
白鳥は手元の――琥珀色の石をチラリと見やる。
と、石は意思を持ったように輝き出す。
「あ、ほら。ちょっと考えただけでこうだよ。まったくもう……」
瞬く間に、琥珀色の柱がテーブル上に「生えた」。
天井にまで届きそうな柱が突然現れることは、普通ならもちろんあり得ない、のだが。
当の白鳥はおろか、目の前にした川村もまったく動じずに、
「……うん、大体分かった」
傍らの缶に手を伸ばしながら、ボソリと呟いた。
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