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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

681 ◆1En86u0G2k:2011/02/10(木) 14:18:09

指摘された動作をフル活用して失礼な物言いを強引に止める。
見下ろす板倉はすげえ悲壮感、となにやら意図ありげに呟いていて、
「ほんとだメンバー揃ってる」「えっ何?あっ、」
背後のふたりがなにやら感心しているが反応するゆとりはすでにない。
とにかく一刻も早く一矢報いたい、その一心で田中は捨て鉢にこう言い放った。
「ていうか板さんだってそんなに強いと思えないんですけど!」


虚を付かれたような板倉の表情は、しかしすぐによからぬ企みを思いついた笑みへと変わる。
同時に、やや平静を取り戻した田中の顔色がさっと青ざめた。
以前(悔しいことに)追っ手を振り切れずにいたとき、手を貸してもらったことを思い出したのだ。
記憶に間違いがなければ、随分と乱暴な手を。


「…あ、そう?俺のやつって、タナちゃん見たことなかったっけ」
「…ううん、けっこう前に見てる、」
「それで怒ってたんだ。なーんだ、言ってくれりゃよかったのに」
「あるよお!あるからいいってば!」
「まあまあ、タダにしといてあげるから見てってよ」
「タダなのは当たり前でしょー!!」

身を預けていたソファーから立ち上がると、板倉はさっそく石を握り込んで力を込める。
その独特な圧力に呑まれて硬直する田中の背後、鈴木と山本がとばっちりを喰らわぬようそっと距離を取りはじめた。
卑怯だ、別に卑怯じゃないでしょ、助けてくれたっていいじゃん、痛いの嫌だもん、俺もやだ、この薄情者!云々。
顔だけをなんとか傍観者たちのほうへ向け言い合っていた田中は、
なにやら不穏な気配が満ちるのを感じ、おそるおそる視線を前方へ戻した。
指先で蒼い火花を遊ばせている板倉が軽い調子でそうだ、と呟く。


「今日はあれだ、乾燥注意報出てたよね」
「そ、そうなの?」
そういえばエレベーターのボタンにも楽屋のドアにも、バチリと指をやられたけれども――
「だからさ、」
次第に火花の色が明るく澄んだものに変わっていく。
きれいな色だなあ、現実逃避に走った田中の頭がのんきな感想をドロップした、次の一瞬。
「よく走ると思うよ」

そこらじゅうの静電気をありったけかき集めて叩きつけたような、すさまじい音で楽屋が震えた。


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