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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

679 ◆1En86u0G2k:2011/02/10(木) 14:15:04

押し込めた苦い記憶が蘇り、山里は反射的に右目を閉じて顔をしかめる。
身の凍るような過ちを、溺れるほど深い後悔を、もう二度と繰り返すわけにはいかない。
同じ轍を踏んだあかつきにはいよいよ舌を噛んで死ぬべきだろうし、万が一命が惜しくなり躊躇すれば、
本格的なトレーニングを経て数倍の重さとなった誰かの拳が、正確に自分の顎を打ち抜いてくれるだろうと思う。

たとえこの先、大きな波に飲まれ、息を吸うために若干長いものに巻かれることを許したとしても。
本分そっちのけで繰り広げられる不毛な争いを自分ごと小馬鹿にしてみせる、
アイデンティティに似た意地の悪い客観性だけは決して失うまいと誓っていた。


山里の決意を知ってか知らずか、相変わらず春日は何かを見下ろすように笑っている。
「やっぱり笑われてなんぼだと思うんで」
「まあねえ」
腐っても芸人だもんね、短い言葉に凝縮されているかもしれない真理を噛み締め、おや、と思う。
もしかして自分はそこを確認したくてこの男を誘ったのだろうか?
(…さすがにそれは、)
「考えすぎかな」
ひとりごちた山里を春日は愉快そうに眺め、倣うように。

「こんなの、全部、くだらねえんだし」

まるで若林が吐き捨てそうな台詞を、実におだやかに言ってのけた。


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