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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
641
:
春風はレベル30
◆1En86u0G2k
:2009/07/08(水) 00:21:15
「やられたなあ」
最後にひとり、夜道を歩きながら笑ったのは設楽だった。
途中まではほぼ完璧に計画通り。相方を関わらせないという希望を受けておいて、最終的にそれを取引の題材にさせてもらうのはすでに試したことのあるパターンのひとつだ。
こちらの能力に近い石を発動させて真正面から抗ってくる展開は初めてだったけれど、自惚れを差し引いても自分と自分の石の相性は相当にいい。
多分あのままいけば引き込むことができただろう。彼の希望通り春日を登場させなければ、日村がひょっこり出てきて不意を突かれることもなかった。
シナリオ上はどうするのが正解だったっけな。思い出そうと見上げた先に反射鏡が立っていた。映った自分の顔をしげしげと覗き込み、ひとつ息を吐く。
「別にすげえ人相悪くなってるってこともない、か」
随分と暗躍を重ねていた。白だ黒だの争いから意図的に遠ざかろうとする若林にすらあれだけの警戒心を持たれたのだ、さぞかし悪名は広く轟いているのだろう。
誰に何を言われようと押し通すことを決めた誓いと、時々自分に向けられる日村の物言いたげな眼差しが秤に乗せられてゆらゆらと揺れる。
「石使わなきゃ言うこと聞いたっつって、…んだよ、普通に行ったってぜったい構えるじゃん、」
まるで好き好んで言うこと聞かせて回ってるみたいな言い方するよな。腹を立ててみても、俯瞰的に観れば「ですよねー」の大合唱があちこちから聞こえそうで首をすくめる。
ともかく、彼らの件についてはしばらくの間、凍結を余儀なくされたというわけだ。
本当は気力が戻れば若林に対する“屈服”も、はねのけてしまえるかもしれないけれど。
単独ライブを成功させたいという芸人として当たり前の意地を見せられてなお、契約を破棄する気にはなれなかった。
(そこまでやっちゃうとしたら、…たぶん、ほんとに最後の最後のとこなんだろうな)
その線を踏み越えてしまった時、自分はまだ芸人と呼べる生き方をしているだろうか。
ポケットに突っ込んだままの携帯電話が日村からの誘いを録音していることには気付かないまま、設楽はゆっくりと歩みを進めてゆく。
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