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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

640 春風はレベル30 ◆1En86u0G2k:2009/07/08(水) 00:20:07


 「今回は間に合わなかったねえ」

 続いて街灯の下、どこか残念そうに呟いたのは春日だった。
 突然の誘いと電話。重なる偶然に驚きながら日村へと繋ぎ、急な断絶に嫌な予感がして駆け出したものの、さてどこへ向かえばいいかわからんぞと途方に暮れたところで再び鳴った着信音。
 2度目の若林は憔悴しきった声で現在地と目印を告げ、10分で来い、来なけりゃおれは路上でくたばっちゃってるからな、と脅しだか懇願だか判別しかねることを言って一方的に電話を切った。
 そこそこ全力疾走でなければ間に合わない距離をどうにか走り抜け、荒い息で辿りついた駐車場の看板のそば、宣言通りぐったりと座り込んでいる相方の姿。
 とりあえずケータリングから頂戴した水を与え、落ち着くのを待った。すでに何事か起きたあとなのは間違いなさそうだった。
 冒頭の台詞に若林は人の気も知らねえで悠長なこといってんじゃねえ、と薄水色のボトルキャップを投げつけてきたが、こちらの額を狙ういつもの精度がまるでない。
 車道に向けて転がったそれを捕まえて戻ってくれば、夜目にもわかる青白い顔で、ぼそりと呟く。
 「毎回毎回おいしいとこもってけるなんて思うなよ」
 「別においしいとも思ってないがね」
 「…ま、いいや…とにかく単独終わるまでは、芸人に専念できっから…」
 「はて。どういう意味かしら」
 「おれ死ぬ気でネタ作るわ。お前も死ぬ気で覚えろや」
 「おお?」
 「つかお前も作ってみろよ。そろそろ本気出してもいい頃だろ」
 「ぉおお?」
 若林は一体ひとりで何に立ち向かったのだろう。その果てに何を手にしたのだろう。事の顛末も気になったが、今はまずキラーパスをキャラ通り正面から受け止めるかどうかの判断が先だ。
 春日はふむ、と顎に手を当て、しばし思案した。


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