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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

628 春風はレベル30 ◆1En86u0G2k:2009/07/07(火) 23:58:54

芸人の間ではひそかに有名になった不思議な石が、例に漏れず2人の元にやってきてひと月ほど。
くだらねえと呟いたところで結局襲撃は止まなかったし、関心がないと主張しつづけても情報は勝手に飛び込んできた。
白とか黒とか、味方になったとか裏切ったとか。オセロみたいな勢力争いの、板上に乗ること自体を拒否して逃げ回る日々。
悪の帝王めいた噂すら流れるその人から直々に連絡が入ったのは3日前のことだ。
電話番号わかんなくってさあ、の笑い声を耳に、反射的に身構えてしまった自分へ沸々と苛立ちを募らせながら、若林は平たい声で問うた。
「それは僕だけでもいいですか」
なぜあの時はそんなことを聞いたのだろう。少なくとも置いておけば盾にできたろうに、電話を切ったあとでこっそり後悔したのはここだけの話だ。
ともあれあっさり承諾されたのは意外だった。正念場かもしれない対面を春日抜きで切り抜けねばならなくなる。
もっとも、いつものような直接的なドタバタは起きないだろうとも予測していた。帝王の手口は柔らかいのだそうだ。
『肩の力抜くといいよ』
電話の向こうはバナナマンの設楽、やけに楽しげな声が不穏な気配を漂わせていた。


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