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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

627 春風はレベル30 ◆1En86u0G2k:2009/07/07(火) 23:58:00


自分と違うところばかりの友人を相方に選んで約10年、
沈んでた時期の方が長いのに振り返って余裕ぶるなんてのはいかがなもんかと思うけど、
ほとんどつまづき続けの日々、向かい風警報出っぱなしの中、どうにか空中分解を免れたのは、芯の部分に貴重な共通項を通していたからではないかと思うのだ。
つまりはどれほど痛い目に遭おうとも、取捨選択は己で決めるという不格好な意地の張り方である。


*********


2月の終わりを迎えた某局の楽屋だった。
桜前線はすでに沖縄でスタートを切ったという。日本中がピンク色に染まる季節がやってくる。
自分たちの生活は先取りした春一番めいた激しさを保ったまま、相変わらずありがたいことに気が抜けない。
ついでに言わせてもらうと、ありがたくない方面でもまったく気が抜けない。
(昔はそこらへんの桜見に行って 1日中ボケーっとしてたっけ…)
思い出にひたるつもりで鼻をすすり、ふとその記憶がほんの数年前でしかないことに気付いて我に返る。
「別に昔ってわけでもねえなあ」
拍子抜けした声が漏れた。2個目の弁当に取りかかっていた春日が顔を上げる。
「なにかね」
「いや?」
ひとりごとです。重ねて呟くと春日は首を傾げ、大きな独り言ねえと笑うだけで特に追求はしてこなかった。
「おれこの後用あっからさ、おまえ帰るんなら車乗ってっちゃっていいから」
「はいはい」
完全に唐揚げの方に集中した生返事。馴染みの無関心を今は心底好都合だと思いながら、若林は深呼吸を繰り返す。
仕事と異なる方面からくる緊張は、決して気取られたくなかったのだ。


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