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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

620 ◆sKF1GqjZp2:2009/06/30(火) 01:11:40
「内村さん…あなたはどうして…」



彼、狩野英孝が石を手に入れたのは3年ほど前のことだった。
愛犬とのいつもの散歩の途中に、偶然見つけたもの。
それは輝く星を中央にたたえ、鮮やかな赤い色をした石だった。
見る人が見ればすぐに本物だとわかっただろう。
当時の狩野は宝石とは全くといっていいほど無縁だったため、よくできたイミテーションとしか思えなかったが。
しかし、自分でも何故かはわからなかったが、石を捨てる気にはなれなかった。
綺麗だしお守りにしようと、持っていた実家のお守りに入れて再び散歩コースを歩きだす。

―――その日を境に、狩野の運命は大きく変わることとなる。
レッドカーペットのオーディションに受かったのをきっかけに、狩野の認知度は徐々に増えてゆき、今では昔と比べたら遥に高くなっていた。
「これのおかげなのかな、やっぱり…」事務所にて石を手のひらにのせて一人呟く狩野。
普段は袋の中に入れているが、時々こうして眺めたり磨いたりしている。
「でも何なんだろう」
何か胸騒ぎがする。当初はこんなことは感じなかったのに、最近いつも誰からも注目されすぎているのだ。
ただ単に有名になったからというだけではない。その他人の視線のいくつかには、自分を狙っているものさえ感じる。
「まあファンの子だったらまだいいけど…」
持っていたタバコを消し、帰ろうと立ち上がった時だった。
ドアが開き、誰かが入ってくる。
「なんだ…お前か」
「あ、内村さんお疲れ様です」
狩野の大先輩の内村だった。丁寧なお辞儀のあと、すぐさま帰り支度をする狩野。


「ちょっと待て」
不意に内村に腕を掴まれ、肩がはねてしまった。
「な、なんですか!?」
思わず声が裏がえってしまう。
「今、何をしまった?」
「えっ…」
「見せろ」有無を言わせぬ強い命令口調。よく番組でしている特定人物との冷たい絡みとは明らかに声が違う。
「これなんですが…」
「…!!」おずおずと狩野の手のひらの石を見た途端、はっきりと目を見開いた内村。わずかにその身が震えたのを狩野は見逃さなかった。

しばしの沈黙の後、内村が口を開く。
「…狩野」
「は、はい!!」
「気をつけろ」
「え…?」
内村の言葉の意味が分からず、思わず聞き返してしまう狩野。
「後は自分で考えろ。俺が言えるのはこれだけだ。」
「え、ちょ、ちょっと内村さん!?」
狩野に構わずに部屋を出て行く内村。
残された狩野はしばらく呆然としていた。


程なくして、狩野は内村の番組の一員に誘われることとなる。
それが、『戦い』の始まりだった。


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