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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

611ずぶぬれスーパースター ◆1En86u0G2k:2009/01/15(木) 18:39:14

覚悟していたとはいえ、真冬の水温を浴びる衝撃はすさまじいものだった。
巻き戻しと再放送が終わり、頭が諸々の情報処理に手こずっているうちに、いつのまにか日常を邪魔した御一行の姿は綺麗さっぱり消えている。
何やってんだよ。舌打ちされて見上げると、腕組みした相方がとても不快そうに自分を睨んでいた。
目線の薄暗さに事情を悟る。おそらくいつもより“強め”にいったのだろう、人為的な不機嫌さを丸出しにしている。
いやいや春日ともあろう者が、ははは。
悠然と身を起こしたが、下半身まるごと水に浸かっただけあって、たちまち体温を根こそぎ奪われかねない寒さに苛まれた。
体感する冷気と凍り付くような視線を受けながら、春日は自分が春日で本当によかったと思う。常人ならここで心が折れる。
「…怪我は」
「は?」
「怪我してねえかっつってんだよ何度も言わせんな」
「…いや、どこも。少々寒いくらいだな」
「行くぞ、早く」
風邪なんかひいたらまじで許さねえからな。
言い捨ててすたすたと歩き出す若林を追いかける。
そういえば今日演ったネタで水責めを畏れたっけ、と、どうでもいいことを思い出しながら。
確かにこれは忌避すべき状況だ。びしょぬれの中、またひとつ学んだ。


痛いとか痛くないとか、相対的な観念とか。そのあたりのテーマで悩む趣味が春日にはない。
ただ約束は守ろうと思う。まっすぐに立って、まっすぐに笑う。
銭湯の類をきっぱりと固辞し、帰ってからきわめて迅速に着替えたので、風邪は引かずに済んだ。若林は単にばかだからだろ、と主張した。
答えは今も保留中だ。450円を守り抜いた。

「こうして春日は目ざましく成長を遂げてゆくわけでございますな」
「元々が底値じゃねえかお前なんか」

またまたそんなご冗談を。


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