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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
610
:
ずぶぬれスーパースター
◆1En86u0G2k
:2009/01/15(木) 18:36:43
自分の石の効果を知ってからそれほど日は長くないが、好ましい能力だと思っている。
若林の指摘は後回しに、右斜め後ろに合わせて素早く右腕を上げた。半拍遅れてそこへ拳が当たる。
最初の攻撃には大概腰が入っていない。春日を攻撃するつもりが、当の本人にないからだ。
若林をまるで無視するような形で半円状に陣形を組み直され、つまりそれが春日の石の力だった。
わずかに気合いを入れ直す。次の手までの時間稼ぎと割り切って、攻撃を捌くことに集中する。
数回の体当たりとパンチを耐え切ったところで、奔る人影が視界の端をよぎった。
初動の瞬発力は相変わらず見事だと思う。若林は注意力を欠いた男たちの背中や肩を、掠めるように触れていく。
奇襲にしては軽すぎる攻めに戸惑いが広がり、けれどそれが終わりの合図だった。
生気を感じさせなかった男たちの表情に次々と浮かんでくる怯えの色。手数の有利さで闇雲に打ちこまれていた手が止まる。
「…よし、走れ!春日!」
隙を作れれば十分だ。恐怖に固まった相手を押しのけ、しかし早くも負荷の影響を受けた若林の動きが鈍り、そこにまだ動けたらしい男が立ち塞がる。
「…っ!」
かける力の方向を速やかに変えてひとつ蹴りを放った。相手の背丈をまったく考慮しないのは、元から威嚇にしか使う気がないからだ。
夜の空気を裂く音が男の頭上で鋭く響く。
上乗せされた危機感にようやく相手がへたり込むのも見届けず、全力でその場を離脱した。
勝つのも負けんのもごめんだね。あくまで若林は主張を貫くつもりなのだった。
必要最低限の睡眠時間やネタ合わせ。およそ芸人に必要な生活を守るために、ほんの少しだけ石の力を借りる。
最後はいつも相手か自分たちが逃げだしてぐだぐだで終わる。明確なオチなんてこれっぽっちも望んでいない。
誰かが欲しがってる光景の、こう、真逆ばっかり打ち込んでやりたいわけ。そのうち全部ひっくり返って、ついでに我に返ってくれたら面白えんだけど。
癖らしい観念的なひとりごとにはいつも、肯定も否定も返さないことにしている。
だからその時は粛々と、最後にハイキックを打たされた事実を悔やんでみたりした。
「春日にあそこまでさせるとは…」
「なんだそのプライドめんどくせえな」
捨ててしまえよ。若林は詠うように言う。その日はほどほどに上機嫌だった。
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