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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
609
:
ずぶぬれスーパースター
◆1En86u0G2k
:2009/01/15(木) 18:35:00
「こんなもん持ったって何が変わるってわけじゃねえから」
春日の家である種の決意を固めてからずっとだ。
若林は何度も誰かに言い聞かせるみたいに繰り返す。そりゃそうだ、石が漫才に割り込んでくるわけがない。
噛まなくなる効果でもあれば儲けものだが、その日の収録で可能性はあっさり潰えた。
というわけで春日は基本的に石に対する関心をなくし、雑にリュックのポケットに突っ込んだままにしている。
どちらかと言えば若林の石の方が気になった。あの銀色はたしか白金という名だからだ。
「グラムあたりいくらになるんだったかね」
知らねえよバカ、素早い切り返しで怒られる。てか何勝手に売る気になってんだよ。それよりさっきのお前、噛んでんじゃねえよばかやろう。
不用意な言葉のせいでいくつか余分に反省を促されながら家路を辿る。
さあ、今日こそまっすぐに帰れるだろうか。
新ネタの納得いかない部分にひらめくところがあったらしい若林は、まじ今日は空気読めよ、と早口で呟く。
「一刻も早く詰めてえんだから」
「多分無理だろうな」
「…なんでだよ」
「なんとなく。勘だな」
相変わらず根拠もないくせに自信たっぷりな春日に若林は冷たい視線を向ける。
けれど、春日の勘はこんな時いつも、妙な的中率を誇った。
殺気とまでは呼べずとも、不穏な戦いの気配には敏感なのだ。感じ取っても動じないだけで。
まもなく春日の宣言通り、厭な雰囲気を漂わせた男たちが行く手に姿を現し、お前のせいだからな、と若林が心底うらめしそうに呻いた。
相手は4人。
こちらの倍の人数で挑むとは、それだけ春日の脅威を強く感じているということか。
大変結構。頷いて一歩前に踏み出す。
「3分でケリつけるぞ」
こんなことしてる場合じゃねんだ、若林はやはりどこかの誰かに噛み付くような言い方をする。
「そうですな」
それぞれが思い思いに襲いかかってきた。どこか虚ろな目と素早さのコントラストが奇妙ではある。
一番体格のいい男が春日を、残りは後方の若林を標的としてまずは認識したようだった。
なるほど、そう来ますか。
相手の目論みを鼻先でへし折る時の心地よさは多分相方の専売的な感情だった。なので春日は冷静に、けれど堂々とした声でただ叫ぶ。
「…トゥース!!」
天を指すように立てた指の背後から、なんかそれやっぱり格好悪くねえか、ぼそりとそう漏らす声が聞こえた。
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