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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
601
:
さよならリグレット
◆1En86u0G2k
:2009/01/14(水) 03:25:23
強引にペットボトルをひったくった。ごく薄い色のついた水の底で、確かにふたつ、溶け残った飴が泳いでいる。
…いや、待て。妙な既視感が脳裏を通過した。
これは本当に、飴か?
「…ちょっと待てよ、おい…」
互いにボトルの底を凝視する。にらみ合いの果て、先に結論を発したのは春日だった。
「…石だな、これは」
「……っ!?」
間違いない。若林にうっかり拾われ、男との取り合いの末、遥か彼方へぶん投げられたはずのあの石だ。
なんで、どこから。何経由で。
非常識な事態にまばたきを忘れる若林をよそに、春日がじゃあこれ飲まない方がいいのかな、と残念そうに呟いている。
「川に落ちてた石だもんなあ。腹壊しちゃうか。なあ若林、どう思う?」
「…………」
もうひとつの石が自分の所有すべきものではないかと、悟るより先にこの始末だ。
気に病むポイントがズレすぎていた。光景のあまりの間抜けさに、若林の両肩からすとんと力が抜ける。
意地を張るのもばからしい。
どうせたかが石っころだ。あってもなくても同じだとして、誰かがこれでくだらない何かを企むのだとしたら。
ささやかな抵抗として、阻むためだけに握っておくのは、そんなに悪くないかもしれない。
観念に近いため息をついて、いくらか険しさの抜けた視線を向ける。
(もういいや。投げねえよ、もう)
うす甘い水の中、小さな石がほっと胸を撫で下ろすようにころりと揺れた気がした。
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