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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

599さよならリグレット ◆1En86u0G2k:2009/01/14(水) 03:19:58

どうして自分の居場所がわかったのか。
問われた春日はきょとんとして、まあ適当に、と泣けるほど実のない返事をよこしてきた。
ハッタリでももう少しうまいことを言ってくれたら、感動してやれたかもしれないのに。まあ、しないけども。
「捨てちゃったのか」
春日は気を失っている男が見ていた方向を見下ろしている。
「捨てちゃったね」
若林は満足げな声で、いい球投げちゃったもん、と続けた。

「野茂を彷彿とさせるくらいすっげえやつ」
「そうか」
「…まああれだろ、どんだけみんな必死なのか知らないけど、さすがに殺されたりはしねえと思うし。
 人死んでたら騒ぎになるし、俺らだってちょっとぐらい噂聞いたりするだろ普通。
 そういうのがねえなら、…まあ、どうにでもなるはずなんだよ」

相槌を待たずにべらべらと喋りつづける自分はひどくみっともないなあと思う。
男がまとっていた異様な気配。石のくせに光ったりなんかして。
確かに若林は怯えていた。色を変え始めた日常はさらに、よからぬ方向へ捻くれようとしている。
捨てなきゃよかったのかな。よぎった弱音は無視した。そんな格好悪い台詞を吐くぐらいなら殺されたほうがましだ。
いや殺すのはさすがに勘弁してください。せっかく楽しくなってきたんだから。妙な騒ぎに巻き込むんじゃねえよ頼むから。

ぐるぐると堂々巡りをはじめる思考の外、声が聞こえて顔を上げた。問い返す先の表情は相変わらず、腹立たしいほどに揺るがない。
「大丈夫だろう」
いったい何の根拠があって。
けれども二度も救われてしまった身だった。言い返さないでおいてやる。


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