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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

598さよならリグレット ◆1En86u0G2k:2009/01/14(水) 03:18:57

沈黙が流れる。
力任せの投球動作からバランスを崩して座り込んだ若林と、呆然と石が消えた先を見つめる男。
なにやってんだよ、掠れた声が聞こえた。投げたんだよ。こちらの声も掠れている。
「何考えてるんですかあんた…!?ええ、何投げちゃってんの!?馬鹿じゃねえの!?」
とうとう敬語が抜け落ちた。先程よりはずいぶんと人間らしい声だ。今時の若者めいた、捲したてる口調に眉をしかめる。
俺年上だぞたぶん。どうでもいいけど。
「お前、あれがほしかったんだろ」
若林は何も考えていなかった。少なくとも石を手にした未来のことは、何も。
ただ自分の元にやってきたあれを、誰かが奪おうというので、その前に捨ててしまおうと思っただけだった。
そっちの方が少しは面白い気がしたから。
とりあえず目を見開いた男の顔は期待通り、ずいぶんと滑稽にみえた。
「欲しけりゃ取りにいけよ」
楽しそうにすら聞こえる煽り。馬鹿正直に反応した男は、素早く若林の胸倉を掴んでねじ伏せてきた。
後頭部に重い衝撃。ギリっと音を鳴らすような圧迫感。気道が塞がれて息苦しい。なにこいつ強えじゃん細いくせに。
(ああ 、やばいなこれ、落ち る、)

―ガッ!

今度は本当に鈍い音がした。
喉を詰めていた力が緩む。白と黒に明滅する視界の上端で、誰かが息を切らしている。
こないだもそんな感じだったよなお前。ほんっとワンパターンだな。
「遅ぇよばか」
切れかけの蛍光灯に似た意識の中、春日であるはずの人影に毒づいて、笑った。


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