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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

582元書き手:2008/12/17(水) 08:18:54
ポケットの中で静まった石を、ズボンの生地の上から触ってみる。
真っ黄色に染まったそれはイエローカルサイトと言うらしい。樋口が調べてくれた。
光らないし、喋らない。
意思疎通が出来ないパートナーは、なぜ自分を選んだのだろうかと思いながらも。

「渡さないなら…行け」

リーダー的な男の言葉に呼応して、下っ端共が襲いかかる。
男達は黒い欠片の力で、通常の人間以上の速度で距離を詰める。
誰もが体格は普通、中肉中背。
…もし山田のような体系の人間が本気を出して体当たりすれば、簡単に吹っ飛ばせるだろうか。
早さが早さだったからか、簡単に組み付かれる。
4人の男に四肢を拘束された状態。
「何すんね……ん!?」
全力で引き剥がそうとして、しかし相手の方が力が強い。
いきなりピンチだ。
ヤバい。
ほんとにヤバいな、と彼は思った。

普通、例えば物語の主人公は、こう言う時何とか出来るものなのだが。
ただ、主人公じゃなかっただけかもしれなかった。

4人の男に束縛された大柄な体はぴくりとも動かない。
恐ろしいまでのパワーで巨体を完全に押さえられてしまう。
「さて、ポケットを探らせてもらいますよ」
ひたひた。
夜の闇に紛れるような足音が静かにこちらにやって来る。
しかし何も出来ない。
山田が悔しさでギリッと歯を食いしばって、石がある右ポケットに男の手が伸び、

「ひぐちカッター!」
ドンッ。
空気の塊が男の背中を打撃したのが分かった。
体勢を崩した男は山田の前で膝を付いて座り、4人の取り巻きは何が起こったのか分からずにきょとんとしている。

…あぁ。
来てくれた。

「やっと先輩らしい事、してくれはった」
「やっと、って何だよやっとってぇー」
「…だけどね、」
「ん、何」
「気合い入って無いから、切れ味悪いカッターになってるで」

そこには、仕事終わりで髪の毛を後ろで束ね地味な私服を着た樋口がいた。
鞄を背負い、左手の内側に石を握り込んで立っている。急いで来たのか、額に汗を軽くかいていた。

不本意な顔をしている樋口を無視して山田は指摘した。
本来なら、この技は簡単に人を傷付けられる危険な技だ。それを加減した事は分かっている。
だからこそ、鈍い打撃音が響いたのだから。


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