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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

580元書き手:2008/12/17(水) 08:16:41
*上流階級*

そこで聞こえるのは爆笑と拍手。
赤い絨毯が駆動して、ネタを終わらせた芸人を袖へ流し込んだ。
スタジオではゲストコメンテーターと司会のやり取りが続いている。
それを尻目に、再登場の予定が無い芸人達は楽屋に戻って、これから家へ帰るためにメイクを落として衣装から着替える。
――平和に帰る事が出来る芸人は、最近少数のようだが。
髭男爵もそうだった。
たった今、着替え終わって身支度を済ませた彼らも、また例外では無い。

闇夜纏う裏路地。怪しい目付きの男達5人に、ひとり大柄な男が絡まれていた。
髭男爵の山田ルイ53世こと、山田順三その人である。
「何でこんな事になったんやろなぁ…」
仕事終わりの困憊した口振りで、山田が呟く。
正直面倒だった。
純粋にただ人を笑わせたくて、芸人になりたくて、頑張って来たのに。
若手だろうが中堅だろうが、近年「石」の被害を受けてテレビや舞台に出られない者が増えたのを、彼は先輩達から聞かされた。
初めて石が見つかってから、もう随分経つのだが、その争いは絶える事が無い。
笑いを作るはずの世界が混沌に満ちていた。
それは、自分が望んだ世界では無い。

石の力でテレビ出演を妨害…なんて野暮な事をされるのは遺憾だった。
しかし相手がこちらの都合を聞き入れてくれるような集団なら、そんな事はしない。
ましてこんな風に対複数で絡んだりはしないだろう。

「山田さん?寄越せよ…石、なぁ」
狂喜に憑かれた目をしたヤツらがこちらに迫り来る。
その様相に思わずジリジリと下がる。
あかん、と山田は思った。
何せ、石は確かに持っている。
が、

彼は自分の石の能力を知らなかった。


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