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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

565Phantom in August  ◆ekt663D/rE:2008/01/27(日) 01:56:39
『……愚かな芸人だ』
はあ、と一つ大仰に肩をすくめると『交渉決裂だ』と小さく呟いて『白い悪意』は眉間の石と両手に白い光を輝かせだした。

『               』

ぼそりとその口元で言葉が紡がれ、微かに届く音の不穏な内容に松丘の大粒の双眸がギョッと見開かれた瞬間。
『白い悪意』の両手と眉間から球状の光が周囲へとばらまかれた。
今までは一撃で沈めようという意志が強かったのか一筋の光の帯状だった攻撃が、疲弊しているからかあるいは確実に倒そうという
意志に転向したか、今回放たれた攻撃はハンドボールのボール程度の大きさの光の球。
しかし、その数が半端なかった。ざっと見繕って五十個以上の光の弾は上下左右にまんべんなく散らばっていく。
「……何か昔のバラエティ番組にあった企画みたいやな」
一瞬浮かべた動揺を強引に押し殺し、サーペンティンの楯が使えない以上はとなるべく被弾面積を狭めようと身体を丸めながら
松丘が呟く声が耳に届き、平井は頷く。
しかしマシンによって撃ち出されたバレーボールを狭い足場の上で避けるような懐かしい企画というよりも、
目の前の辺り一面を光の球で覆い尽くすそれは、いつかゲームセンターで見かけたシューティングゲームの画面を連想させた。
「………………」
ゲームならボムを使えば窮地を脱する事も出来ようが、いかんせん自分達の手持ちにボムになりうる物はない。
(冷静に考えれば通常のショットもない体たらくではあるが)
だったら、飛来してくる光の弾玉を直撃にならない程度にかすらせつつ避け続け、勝機を待つしかないだろう。
小刻みに身体を動かして光の弾を除けながら、拓けた空間はないか調べ、見つけ次第恐れることなく踏み込む……文章にすれば簡単だが
途方もない作業である頃は他ならぬ彼自身が一番認識している。
――でも、やるしかないか。
威勢良く啖呵を切ってしまった手前、弱音を吐く訳にも行かず、平井は全身の神経を集中させる。
主の決心を応援するかのように喉元でダルメシアン・ジャスパーが煌めく中。



その覚悟を打ち砕くかのように、平井達の背後から一陣の強烈な突風が路地を吹き抜け、
光の弾幕は風に揺さぶられ、互いに誘爆して白く溶けていった。


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