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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
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:
日常のルール
◆1En86u0G2k
:2008/01/17(木) 23:47:03
それから数日後、大阪にある、某劇場にて。
時刻は夜の6時に届きかけ、滞りがなければそろそろ本番。楽屋の中には4人の芸人が顔を揃えている。
「…で、こないだのは結局、何がどうなってたん?」
「「「ぇえええ!!?」」」
間の抜けた響きにはズッコケと爆笑、頭を抱える仕草、三者三様のリアクションが向けられたが。
いたって真面目なつもりらしい男―ますだおかだのスベる方、失礼―大きい方こと岡田 圭右は、ん?と頭上に疑問符を浮かべて目をしばたかせる。
「…ちゃんと説明したやないですか、僕!」
「いや、なんやようわからんまんまでな。みんな喜んでたから、うまくいったんやな〜とは思ったけど」
「嘘やろお前…流れなら俺もあん時、話しといたやないか」
「いやいやいや、これもしかしたら、一番最初から話さなならんかもしんないすよ」
「ほんまかぁ〜…えー…やっぱり俺のせいなんかなあ…」
「いや増田さんちゃいますよ、僕の伝え方が下手やったんですきっと……」
(うわわ、これ、もしかして黙ってた方がよかったんか…)
笑いを必死にこらえる平井はさておき、増田と柳原は何やら深刻な顔で肩を落としてしまっていて。
ごまかすように半笑いで首元に触れれば、鎖で繋がった異なる色の光がチカチカと瞬く。
“うわ、出た!置いてきぼりかい!”“いつものことながら、型破りな奴やな〜…ええで!破天荒!”
身に覚えのある声がふたつ、脳裏で騒いでいたが、さすがにそれは言わないでおいた。
要は選択権をまるごと、相方に委ねたのである。
石を手にして、妙な争いの存在を知って、最初に浮かんだのは感心にも似た驚嘆。
(みんなすごいなあ。なんでこんな大変なこと、積極的にやってんねやろ)
争って、揉めて、傷付け合って―自主的に参加するには魅力がなさすぎる。いっそ石を捨ててしまおうかとすら思っていた岡田を引き止めたのは、他ならぬ増田の存在だった。
この争いにおいて意思が統一されていないコンビやトリオ―4、5人いたりするとこもおるけど、とにかく―が辿る不幸な展開といえば、やはり、その不和を原因にした仲違いや潰し合いだろう。
自分が消極的と知っても増田が怒らない自信はあったが、彼の願いは至極もっともだと思ったし、石を捨てて無力になった自分が迷惑をかける展開が望ましくないことぐらいは、簡単に想像できた。
そこで岡田は考えた。とりあえず相方の自分が間違いなく味方でいれば、ややこしい色々が、多少なりともプラスに働くはずだと。
というわけで彼は、直接の攻撃を厭う増田に代わって積極的に前線に立ち、面倒を企む相手を阻止することに決めた。―もちろん、ダメージは極力与えないように努めて。
相方の分まで動く、一度そういう方針を固めてしまえば、なぜか自分の元に石が2つも来てしまった、その理由にもなってくれそうな気がしたのだ。
(ほんまは俺よりこいつの方が、2個ある!ぐらいのハンデもらってもよさそうやのにな)
石が芸人の元にやってくる基準とタイミングについては誰も把握できていない。
よりによってなぜ、自分だったのか。
増田にひとつあげられたらええのに、なんてことを、実は今でも思っている。
「―せやから、あの日。若手がいっぱい待機しとる大部屋にはペットボトルとかやなくて、大っきな電気ポットが置かれる予定やったんです」
「中身はコーヒー…まあ、味が強かったらなんでもよかったんでしょうけど…その中に欠片を溶かして、みんなに飲ませてしまおうっちゅう、計画やったわけですね」
「大体が初のテレビ出演、そういう時はみんな、緊張して飲み物もガンガン飲むから…、全員やないにしろ、かなりの人数に仕込むことができるやろ?」
「欠片を飲んだ奴は操りやすいから、“指令が来るまでは普通通りに過ごせ”とか、帰り際にでも言うておいて」
「で、そのまま各地に散ってもらえば、準備完了ですわ」
「囮やら足止めやら様子見やら、好きなタイミングで使える尖兵のできあがりや」
最後に心底不快そうに増田が吐き捨て、やっと流れを理解した岡田はハー…と感心したように口を開ける。
「ようできた計画やなあ。そりゃまずい、止めなあかんわ」
「―だから、止めれたんですよ!岡田さんが転ばして、捕まえてくれたんが犯人ですっ!」
「えっ、ホンマか!」
「ポット持ってたやろ」
「いや、あれ使ってひとボケかますつもりなんかな〜っと思って」
「そんなわけないやないですかっっ!!」
「ふははは」
柳原は相変わらず全力でツッコんでくれ、平井は耐えきれずにまた爆笑し、増田は諦めたように首を横に振っている。
岡田はとりあえず笑っておく。こういう日々がしばらく続くのだと把握さえできていれば、多分、どうにかなるだろうと思ったので。
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