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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

542BERSERKER of OLIVE ◆NtDx8/Q0Vg:2008/01/07(月) 22:41:55
「凍らせるって…そりゃまた凄いっすね。無敵じゃないすか」
「その代わりこいつはこれ。起きたら、暫く寒さでガッチガチや」

ふーん、と品川は井上に掛けられていた上着を掴み上げた。
ふらっと楽屋を後にした、庄司が着ていたものだ。

「…河本さん、これ。井上さん、庄司といたみたいっすね」
「ほんまか。でも、そしたら庄司は? 聡と一緒におったんやろ?」
「…さあ。井上さんと別れてどっかふら付いてんじゃないですか?」
「でも聡石使ってるんやで。何かあったんちゃうかって」
「井上さんに聞くのが早いと思いますけど。いつ元に戻るんです?」

品川の言葉を聞くと、あっ、と声を上げ、河本はゆるゆると顔を上げた。

「聡元に戻るんな…その戦闘が終わったら…やねん」
「『戦闘が終わったら』?」

河本の言葉を繰り返す。
それが何を意味するかなど、考えなくても解る。

「井上さんが凍らせたらもう終わるでしょう、普通。まだ終わってないってどういう事です?」
「解らん。でも、聡が封じ込めれるんは一度に石一個やから。相手が何人もおったり、何個も持ってたりしたら……」
「でもこんな建物の中であいつが使ったら俺すぐ解りますよ! 派手な石の力なんか感じませんよ!?
&nbsp終わるって、どう終わったら井上さん起きるんすか!?」
「そんなん俺に言われても知らへん! 聡の石が感じるんやろ。『何か』が終わったって。
&nbspそれ以上、俺には何も言えへん」

河本が言い終わる前に品川は立ち上がっていた。
掴んでいた上着を、河本に押し付ける。

「すいません河本さん、井上さん頼みます。俺、…捜して来ます」

河本の返事も待たず走り出す。
止める事も出来ず、河本は呆然とそちらを見ていたが。
やがて押し付けられた上着を井上に被せると、ソファを背にして座り込んだ。



それから数分後。
ビクリと身震いすると同時に、井上の瞳に生気が宿り始めた。










―――あのバカ、何処にいんだよ!

ほぼ毎日一緒にいる相方だ。庄司の持つ石の放つ空気は知っている。
その空気を必死に手繰りながら、品川は階段を駆け上がっていた。
何階上ったか解らない。が、品川は廊下に飛び出し、精神を研ぎ澄ませた。
この階で間違いない。きっとこの階にいる筈だ。

庄司の石は爆発的な力を生み、しかも自制する事は出来ないから、解放されればその力はほぼ垂れ流しの状態となる。
こんな建物の中で発動させれば、品川でなくとも気付くだろう。
だが今、集中しなければ存在を感じ取れない。という事はまだ大丈夫だ、少なくとも、石は使っていない。
取り敢えずその事には安心しながら、品川は廊下を進んで行く。
二個、三個と角を曲がる。
四個目の角を曲がったその時。

「庄司………!」

いた。
背の高い優男と二人、こちらに歩いて来ている。

「あれ、品川じゃん」

何やってんの、と続きそうなその調子に拍子抜けする。
庄司が若い男に、じゃあこれで、と告げると、男は会釈し、そそくさと二人の脇をすり抜けて行ってしまった。
その男を見送ってから、庄司は品川を横目で見た。
そして、言ったのは―――

「何やってんの」

あんまり予想通りのセリフに脱力して、ずるずると背中が壁を伝った。
そんな品川を、庄司は相変わらずきょとんとした表情で見る。

「何って…お前いねぇから。井上さんあんなだし」


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