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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

510−19歳  ◆rUbBzpyaD6:2007/10/05(金) 01:18:30
「ヒデさん遅くなるならさぁ、先にちょっと覗いてこようかな。
 店閉まっちゃうかもしれないし」
少し冷えてきた部屋で、温かいコーヒーを注ぎながら庄司が言った。
「どこへ?」
「ここすぐ南にいったとこにある本屋。
 なんか画像の男の人に似てる人が働いてるんだって。
 後輩からメールで来たから」
「画像の男って泥棒だっけ?不法侵入?
 それ一人で行くの危なくないか?」
すると同意するかのように三毛猫がにゃーと鳴いた。
「・・・うーん・・・
 どうしようか。って相談しに来たんだけど、ヒデさん遅いなー」
庄司は少し窓の外を眺めていたが。徐々に暗くなる空を見ながら、意を決したように立ち上がった。 
「ちょっとだけ、見るだけ見てくるよ。
 見れば分かると思うんだよなー本人か違うかくらいは」
にゃにゃにゃにゃにゃー!と猫が騒ぎ立てる。
「気をつけろよ」
「うん」
(行くんじゃない!)
「でも早く解決しないと困るだろうし
 ・・・・え?」
庄司が振り返る。そこにはじたばたして鳴きわめく猫を抱きかかえたワッキーがいるばかり。
「今ヒデさんの声しなかった?」
「?いいや?」
首を傾げて、まぁいいかと上着を羽織る。
「すぐ戻るよ」
まるで寄り道でもするときのように、軽くそう言って庄司は部屋を出ていった。
ドアが閉まる瞬間、ひときわ甲高く鳴く猫の叫び声を、後ろに聞きながら。




本屋の場所はすぐにわかった。さほど大きくはない二階建ての建物。
外に並べられている雑誌の中から適当に拾い上げて店に入る。
広くは無い店内をぐるりと一周したがそれらしき人物は見あたらない。
歳若い人はみな、どちらかというとしっかりした体つきで、
あの時一瞬垣間見た、細い体と薄暗い表情のイメージとは重ならなかった。
・・・・ハズレかな。
「520円です」
そのままお金を払って店を出る。
とその時、入れ違いに入ってきた人間と、肩がぶつかった。
うつむき加減に歩いていた庄司は、その勢いに少し跳ね飛ばされる。

───Deja vu 。

あの時と違うのは、立ち止まり、振り返ったこと。
お互いが、まるで鏡のように。


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