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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

494−19歳:2007/10/01(月) 02:13:44
「絶対ジュニアさんの隠し子だと思いましたね。」

閉館後、暗いモニター室でヒデは言った。
話しかけられたのを聞こえているのかいないのか、靖史はモニターから流れる映像を凝視していた。
画面の光が青く白く靖史の顔を照らしながら点滅する。
部屋に残っているのは五人。
警備員と靖史とヒデと庄司と自分は千原浩史と名乗る少年。

「だって年齢的にできないことはないでしょう?
 きっとこの子が会いにきて
 びっくりしてジュニアさん逃げちゃったのかなぁ。あっはっは
 ・・・・くらいに思ってましたよ
 多分、今日帰らされた芸人もそう思ってると思います。ちょっと笑ってましたもん」

あの後、結局閉館時刻になってもジュニアは現れなかった。
連絡も一切無い。
靖司の判断の元、ジュニアは『急病』ということにして
何が起こったか、少年は何者なのかを興味深げに知りたが者たちに
「何も見なかったことにしてとりあえず帰れ」という無茶な一喝をし
無理矢理帰らせた。それが一時間前のこと。
庄司もどちらかというと帰りたかったが、
少年が暴れたときに取り押さえる者が必要という理由の元、そのまま居残り命を出されて現在に至る。
一人では心細いという庄司にヒデが補助を名乗り出たが、こちらはただの興味本位だ。

ことがどうやらそれだけではないということが分かったのは、本当に少し前のこと
「ジュニアさんは、ルミネには来られましたが、出て行っていません」
モニターをチェックし終わった警備員が言った一言だった。
思わず三人は首を傾げた。言っている意味が分からない。
だが警備員も、顔色が悪いばかりで上手く説明できないのか
とりあえずこれを見てくださいと、モニター室に三人+捕獲された少年を招きいれた。

そこでようやく自体の大きさを把握する。
事件が起きたと思われる時刻以降のどのモニターにも、ジュニアは映っていなかったのだ。
入り口や出口だけではない、楽屋を出たなら映らないはずはない
廊下、階段に至るまで、どこにも映っていないのである。

ジュニアが消えた。

まさかそんなはずはと目を皿のようにして、繰り返し繰り返しモニターを見る靖史。
何度見ても。自分が楽屋を出てトイレに行き、帰るまでの間・・・・
誰も楽屋から出ていない。
ただ、不思議なことに、見たことも無い男が部屋の中に入り、一分とたたないうちに部屋を出ている。
帽子を目深に被り、白いシャツとGパンをはいた青年・・・。
芸人ではない、芸人ならどんな若手でもすぐわかる。

「俺。こいつと入り口でぶつかりましたよ」
庄司が言った。靖史が振り返った。
「顔は?」
「見ましたけど、一瞬ですから・・・なんとも」
そしてその目線はそのまま庄司の隣に座っている少年に移る。
ガンとこちらを睨みつけるその姿は、無理矢理首輪を付けられたものの懐く様子のない野犬のようで
それは確かに、14歳のときの彼であった。

「お前がルミネに入ったんも映ってない。どういうことや・・・」
「知らんわ!気付いたらここにおったんじゃ!!さっきからなんかいも言うとうやろう!!」
まだ声変わりしていない少年の声で唸る。
「・・・・・・・・もしお前が浩史なら、俺とお前しか知らんことをいうてみい」
「はぁ?」
上から下へねめつけるような少年の凝視。
フォローするようにヒデが言った。
「もし君が浩史君なら。彼は君のお兄さんだ」
「靖史はそんなにハゲとらんわ!」
間髪を入れない少年の返し。それもまた確かにジュニアを思わせる。
「ほくろの位置一緒でしょう?」
一応庄司もフォローを入れるが少年の表情にはますます困惑と怯えが広がるばかり。

「・・・・とりあえず・・・」
ヒデが出来るだけ冷静に言った。
「みんなで御飯を食べに行きましょう。
 一旦頭を冷やして、それからどうするか考えませんか」


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