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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

485 ◆fO.ptHBC8M:2007/09/07(金) 23:11:16


戦いが激化していけば幾ら上の人間が圧力をかけた所で限界があった。
どれだけ思考を駆使し、良い『シナリオ』を書いて『説得』したところで完璧など無いのだ。
それは小林の相方である片桐に、小林が『黒』であることがバレたことからも安易に想像できる。
菊池の行動が予想範囲外だったことからしてもそうだ。
それ故に、設楽は多少の焦りを覚えてしまっている。そこから導き出された結論が良い物であるはずがない。
重い空気が室内に充満する。
そのとき、

「話し中に悪いな」

突然、現れた3人目に二人が視線を移す。
緑のゲートから現れた男は設楽と小林を確認すると小さい笑みを浮かべた。
「お前らの言い争いなんて珍しいな」
許可も得ずにどっかりと椅子に腰を下ろす男はやはり心なしか楽しそうに見える。
「覗いてたんですか?」
小林が苦笑いしながら訪ねると男は首を横に降る。
「どうにも長いこと『コイツ』と仲良くすると石の呼応がどんな感情から来てるかぐらいは分かっちまうみたいだ」
『コイツ』と呼ばれたそれも主人の意思を尊重するかのように淡く光る。
「それで?何を揉めてたんだよ」
男は煙草に火をつけると中途半端な興味を向けた。
「『彼』を仲間にしたいそうですよ」
「なんだ『彼』って?」
小林の視線の先には設楽の姿。男もそれをなぞり設楽へ視線を向ける。
「――――だよ」
低く篭った設楽の声が響いた。
闇の中でさえ存在を主張するかのようなブラックパールを手に男…土田はその名に苦い顔をする。
「確かに仲間に入れば強いな…今は…あの石も…アイツが所有している可能性が高いし…」
「だろ?シナリオライターには納得してもらえなかったんだが」
「悪いなプロデューサー…俺もシナリオライターと同じ意見だ」
予想を反した答えに設楽が驚く。
その顔は小さな子供が親に置いて行かれたような寂しく儚いもの。
しかしすぐに『黒』の顔へと戻る。眉間に皺を寄せ、普段の冷静さを欠いているのは一目で判断できた。
「…理由は?」
それでも幹部としての利己心から決して怒鳴りはせずに問う設楽。
そんな静かに苛立つ感情を直接受けても変わらず土田は続ける。
「他の芸人とは違うんだよ…お前の『説得』もアイツには効かない」
「まだ彼に『説得』をしていないのにか?」
「アイツはそういう奴だ。下手に力で強要したところで無駄骨になるっつてんだよ」
「何を根拠に」
「反発心」
そんな事も分からねぇのかと言いたげな土田にとうとう設楽も苦い顔をする。
「…確かに、強い拒絶は『説得』を跳ね返し、逆に『白』への誘導へと繋がる」
黙っていた小林も口を開いた。
二人から攻められる形になってしまった設楽は表情を歪めたまま。
らしくねぇと土田は舌打ち続きに吐き捨てた。
「説教臭くなるから言いたくねぇけど、あんまり自分達の力に驕るな」
吸っていた煙草を床に放り投げ、それを強く踏みゲートへと消えていく。
「足元すくわれるぞ」
その一言だけを二人に残して。


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