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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
460
:
名無しさん
:2007/04/07(土) 06:45:30
ノンスタイル話投下であります。
>>458
氏の作品と思いっきり矛盾しますが……。
井上、が黒い存在に立っていると、本人自身からの砂のような呆気ないカミングアウトによって知った。スーツの色と同じような色だからという考えなしの理由からだというが、もっともそれは強がりで、芸人間でまことしやかに噂される黒い欠片の汚染、と依存からくるなしくずしさなのかもしれないが。大事そうにまごまごと攫んでいた黄色い石も、その彼の源なるものらしい。「力を見せて」と石田は言ったが、井上に飛び跳ねられて終わりだった。
それを聞いた昨日、何か引き寄せられるように石田もへんな石を拾ってしまった。つまりが、争いは石田をも巻き込むつもりらしい。
「……このこと考えるのやめよ」
石田は一言つぶやいて、思考をバラバラと薄いプラに分解させ停止させた。いつ起こるとも知れぬ争いよりも、目先の仕事だ。今日は共々東京へ来ており、井上ももうすぐこの楽屋に到着するはずだ。石田は最近買ってバッグに常駐させている文庫本を探り、栞を抜き取ったページから読み始めた。
「……あれ? このページ読んだ、っけ……? 読んでないっけ……」
初読なので如何とも言いがたい。石田はおとなしくそのページから、黙々と字面を見つめ始めた。
「イッシダー」
「うわぁ!」
本を少し読み始めて突然背後から声がし、それがすぐに井上のものだとは理解したが、反射的な声は止まらずこれほどの反応を見越していなかった井上の肩が跳ねた。
「びっくりしたー!」
「う、うわー、何なん、俺のほうがびっくりしてんけど」
後ろでびくつく井上。
「なんでやねん」
「お前が大声出すから……」
彼にとっては軽い嫌がらせだったらしい。思った以上におびえた反応をする井上に、石田がつぶやきのつもりの感嘆を吐き出した。
「物音立てんかったり昨日は飛び跳ねたり、天使みたいやなー! お前」
「……へんな喩え」
一瞬井上の表情がくすぶった、ような気がした。石田はそれに気づきながら、何か気分が悪いことを言ったのかだとか、何か気に入らない行動があったのかとかを思索していた。
ええい、直接聞くほうが。
「……どうしたん?」
「なんでもないけど、そんなこと聞く石田のほうがどうしたん?」
黙りこむ石田。続く少しの沈黙。
「あはは、石田くん」
井上が微笑んだ。
覇気のない発音と緩い笑顔を発した本人は目の前に在る。
彼が黒い立場に存在すると知った所で、石田にとっての井上は警戒すべき人物でもあるが、それでも今暢気の極みを向け語り返る井上のすべてを、全て否定することはできなかったのだ。
井上――彼は問いかけを繰り返す。それは世界の無邪気を孕んだように、それはすべての情愛をもってしているような。未だ邪気を見せない微笑、黒い欠片よりも、一四年の情愛が勝つと信じて。
ああ、考えないつもりだったのに。そう思いながら石田は、力んで発声した。
「井う……」
そしてそれは遮られた。それは遮られた。
それは遮られた。
「石ちょおだい」
声全て発する前に、先ほどと一ミリも狂わない無邪気な声で封じられた。それは石田にとって今一番恐ろしい言葉を伴って。思えば天使のようと石田自身が比ゆしたそれも、伏線だったのか、この状況となっては井上本人に聞けることでもないが、それよりも暫く時間が止まって欲しい。……真面目な判断力が追いつかない。
その願いかなわず、判断するまもなく紛れもなく突きつけられた真実……井上から石田への敵意……に、ただ井上のむき出しの敵意に、今現在もその幼馴染を敵として見つめられないまま、石田は心身ともに静かに後ずさるしか術はなかった。
――背中をくすぐられるような寒気がしたのは身体の調子のせいであって欲しい。
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