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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

438 ◆2dC8hbcvNA:2006/08/20(日) 19:04:29
 逆上した相手の手の平から光が零れる。悪いことの予兆であることは既に学習している。しかし
一歩下がる力もなかった、相手が一人ならば何とかなったのかもしれない。光が宙に舞う。
「あどでー、ぼぐでー」
 場に適わない物真似が聞こえた。光のきらめきすら静止する。
「パパみだいだ力士になりだいど!」
 思わず苦笑した設楽の横から見知った姿が出現した。猪突猛進と呼ぶにふさわしい姿であったが、
瞬きした後には光を止めていた相手を投げ飛ばしていた。ひどく滑稽だが設楽にとってはヒーロー
である。艶々の髪を揺らして日村は振り返る。
 ヒーロー見参の言葉は無かった。忘れられていたもう一人が何かを振りかぶっていた。設楽は無
心で立ち上がる。
 庇うはずの手は宙を切った。重い衝撃音が暗い部屋に響いた。日村の体がゆっくり落ちていく、
設楽は何もせずに立ち尽くす。
 人が倒れる音。嫌な音。うつ伏せに倒れた体は動かない。加害者は青ざめた顔をしていた。観察
出来たのは頭がやたらと冷たくなっているからだった。異様な目線で相手を貫く、手にしていた石
が部屋全体を青黒く照らす。設楽は視線の合わない目で口を開く。
 どうして?
 言葉にはならなかったが、いつかと同じように相手には伝わっているようだった。相手は怯えて
いる。設楽は機械よりも正しく続ける。
 俺達は何もしてないだろ?
「石が必要だったんです、俺は悪くない!」
 相手が捲し立てるようになった。設楽は自分のすべきことを悟った。相手を説得しなければなら
ない。


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